矢祭町議、日当制を検討 年2500万円削減可能
読売新聞(2007/12/21)
 矢祭町議会は12月20日、議員報酬を現行の月額制から日当制にすることを検討する調査特別委員会(委員長・近藤誠副議長)を設置した。全国町村議会議長会などによると、実施されれば、全国初と見られるという。
 この日の12月定例会で、特別委員会設置を求める議案が追加提案され、賛成多数で可決された。提案者の菊池清文議員は「日当制は実費支給が原則で、町民の目にも鮮明度が高く、議員活動に対する対価がより厳格化される」と提案理由を述べた。特別委員会は全町議10人で構成する。
 現在、町議の報酬は月額20万8000円(議長30万円、副議長22万7000円)で、期末手当を含め年額約329万7000円。この日の第1回特別委員会で、議会事務局が示した試算によると、日当3万円とし、期末手当を廃止した場合、定例会や臨時議会、公式行事など年間30日の議員活動で報酬は年額90万円になる。これにより、議員報酬の経費は年間約2500万円を削減できるという。同町議会では政務調査費はなく、議会への交通費も廃止している。

 合併をしない宣言で有名な福島県矢祭町の議会が、議員の報酬を日当性にする議論を開始しました。矢祭町議会はこれまでに議員数の削減をはじめ、議員報酬カットなど議会改革を断行してきました。報酬と別に支払われる政務調査費や費用弁償(交通費)の支給はなく、日給制が導入されると全国でも初めてのケースとなります。
 現職の矢祭町議の皆さまの決断には敬意を表します。
 しかし、議員の活動は議会の開催日に限られてものではありません。日頃の調査活動や町民からの様々な相談への対応など、議会の何倍の仕事があるのが現実です。議員が行政との両輪で街おこしに全力を挙げることが必要だと思います。
 また、議会とは現に議員の職にある者の専有物ではありません。矢祭町議の多くは、農業をはじめ他の職業を持っている方だと伺いました。サラリーマンから我が町のために働きたいと思う人は、年額90万円の収入で生活できるわけはありません。まじめに働く議員の報酬は、最低限の生活を保障するものでなくてはならないと思います。
 一見、わかりやすい、民主的な制度であるように見える日当制ですが、議会の存在意義を矮小化し、誰もが議員になる機会を奪うことになってしまわないか、心配する一人です。縮みの発想では、縮みの連鎖が起き、町の未来が心配になります。