茨城県ひたちなか市の商業施設計画、資金調達難航で進まず
日本経済新聞(2008/1/16)
 茨城県ひたちなか市で計画されていた大型商業施設の開発が進んでいないことが分かった。事業主体に決まった水戸市内の不動産会社グループの資金調達が難航。県土地開発公社から用地を取得するために必要な入金が先延ばしになっている。今月末を当面の期限として調整中で、それまでにメドがつかなければ計画の大幅修正や白紙撤回に至る可能性もある。
 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を受け、不動産向け投融資を控える動きが拡大していることも資金難の背景にあるとみられる。同問題の余波が地域経済に及んできた格好だ。
 今回の用地は国営ひたち海浜公園近くで計12ヘクタール弱。ホームセンターのジョイフル本田やシネマコンプレックス(複合映画館)が並ぶ地区に隣接する。公社が昨年6月に不動産開発のアセットパートナーズ水戸(水戸市)を中心とする企業連合を選んだ。

参考写真
 昨年(2007年)6月6日付のブログ「ひたちなか地区に県内最大級のショッピングモール」で紹介した水戸市内の不動産開発業者「アセットパートナーズ水戸」の資金調達が難航しているとの新聞報道がありました(1月16日付けの日本経済新聞)。
 昨年春、茨城県土地開発公社は、ひたちなか市のジョイフル本田やアウトレットモール、シネマコンプレックスなどが立地する隣接地に保有する土地(2区画・約12ha)の売却先を公募しました。合計で6つの事業者等から応募があり、アセットパートナーズ水戸株式会社を代表とする企業グループ(アセットパートナーズ水戸、安藤建設・魯山コーポレーション・オリックス)に事業者が決定しました。
 企業グループは、SPC(310・5号特定目的会社)を設立し、2008年12月の開業を目指していました。土地の譲渡価格は約76億7000万円で、公社の示した最低譲渡価格・約55億円を大幅に上回る金額でした。企業グループは、既に契約金として7億6000万円を支払っています。残金が入金されない最悪の場合、違約金としてこの7億6000万円は没収されてしまうことになります。
 ただし、入金期限前のこうした新聞報道には違和感を感じます。この報道を日経新聞が行うことの意味は重く、結果的に出資者の投資意欲にブレーキを掛けることにならないでしょうか。報道は、途中経過を伝えることは重要な使命です。しかし、こうした微妙な判断を伴う事例の場合、その影響力を考慮し、慎重さ姿勢が望めれると感じています。
 個人的には、立地条件や商業の集積の状況などを加味すると、是非、実現してもらいたい案件です。
参考:ひたちなか地区に県内最大級のショッピングモール
参考:アセットパートナーズ水戸のホームページ

 2008年3月31日までに、契約された2区画の内、ショッピングセンター用地9.9ヘクタールの関しては入金がなく、契約が解除されました。契約金は、違約金として企業グループには返却されません。ホテル用地2ヘクタールは入金され、契約が完了しました。
 詳しくは、「ひたちなかの大型ショッピングセンター契約解除」をご覧下さい。