2009年度末の開港を目指し建設が進められている茨城空港(自衛隊百里基地の民間共用化空港:小美玉市)のターミナルの設計が大幅に見直されることになりました。
 今秋(08年)着工予定のターミナルビルは、国との協議で、格安航空会社の誘致をも視野に入れて、国内初の“低コスト型”に設計変更されます。 県などが昨年末までに決めた新しいターミナルビルの計画では、到着と発着の手続きをするカウンターなどをすべて一階に集約。航空会社は空港の地上職員を大幅に減らすことが可能となります。
 さらに、人件費や使用料がかかる搭乗ブリッジはやめ、乗客はすべてタラップから直接乗り降りすることになりました。
 また、機首をターミナルに向け直角に駐機すると、発進時に大型の車両でバックさせる必要があり機材や人手がかかるので、斜めに駐機し、そのまま出発できる自走式(車両に牽引されずに飛行機の動力で移動する方式)とします。
 飛行機の運航コストを羽田や成田と比べ大幅に抑え、安く使える茨城空港を航空会社にアピールすることで、定期便の就航を目指すとともに、海外のローコスト航空会社(ローコストキャリアLCC)にも売り込みを図る計画です。
茨城空港を首都圏のセカンダリー空港として位置づけ
 サービスを簡素化して低料金で運行する格安航空会社は、海外では欧米やアジア各国で多くの航空会社が新規設立され、利用者が急増しています。
 ローコスト航空会社は、機内食や機内テレビなどを有料化したり、客室乗務員の服装を軽装にしたり、機内の清掃も客室乗務員が行ったり、座席を全席自由にして予約システムを簡素化したりするなどして経費を節減しています。また、ローコスト航空会社は、着陸料が高い国際空港を避けて、近隣の地方空港を使う場合も多くあります。さらに、限られた機体を有効に使うためには、発着のインターバルを短くする必要があることから、羽田や成田のような過密な空港を避ける傾向があります。
参考写真
 現在、羽田・成田の両空港は滑走路の増設などで発着枠の拡大が検討されています。この発着枠の割り当てが決着すると、首都圏の第三空港として位置づけられる茨城空港に熱い視点が向けられると期待されます。
(茨城空港は地方自治体が管理運営する地方空港ではありません。国が管理をする空港ですので、発着料も県が自由裁量で決めることはできません。ローコスト空港を目指すためには、国との協議が必要です)
参考:ローコスト航空会社と茨城空港の可能性については、国土交通省国土交通政策研究所の特別研究員高橋広治氏の『東アジア航空市場とローコストキャリアの将来像』という論文に詳しく述べられています。ご一読をおすすめいたします。