公明党は、長寿医療制度の課題に直しを図るため、具体的な検討を開始しました。5月8日、公明党医療制度委員会(福島豊委員長=衆院議員)は、衆院第2議員会館で会合を開き、福田康夫首相の指示を受け、制度の問題点を集中的に調査している厚生労働省から進捗状況を聞き、意見交換を行いました。
 北側一雄幹事長、斉藤鉄夫政務調査会長らがも出席しました。
 福島議員は、健康寿命を延ばすという制度のメリットに触れ、制度の骨格を維持していくことの重要性を確認。その上で、「特に低所得者の負担軽減など配慮が必要だ。各自治体からどういう形の追加措置が可能かどうか、制度の運用面の改善を図っていきたい」と強調しました。また福島氏は、厚労省の調査結果を受け、「6月中には、党として具体的な方向を示したい」と述べました。
 井手よしひろ県議らは、具体的な党中央での検討の前提として、低所得者への対策や障害者への配慮などを提案しています。
長寿医療制度改善への提案−1:保険料減額の判定基準見直し
 長寿医療制度の加入者が支払う保険料は、都道府県毎に決まる「均等割額」の部分と、所得に比例して金額が変わってくる「所得割額」の、二つの合計額で決まってきます。「保険料」=「均等割額」+「所得割額」 ということになります。
 この内、「均等割額」ですが、これは所得に関係なく加入者が平等に支払う、定額部分となります。
 この「均等割額」の部分については、所得の低い方の配慮して、所得に応じて「7割・5割・2割」の三段階に分けて減額する「均等割額の軽減措置」が、用意されています。
 しかし、ここでいう所得が問題で、お年寄り「本人の所得」と「世帯主の所得」の合算で決められることになっています。(厳密には、「世帯主」と「同一世帯の他の被保険者」の前年の総所得を合算した金額)
参考写真 つまり、息子さんの家族と同居している高齢者の場合、所得が少なくても世帯主(通常は息子さん)の所得と合算されるため、減額措置が適用されなくなる例が多くあります。所得が同じでも、息子夫婦と同居している高齢者の方が、負担が多いという矛盾をきたしてしまいます。
 反面、所得が低い高齢者が息子らと同居している場合、世帯を分離するだけで保険料が安くなるという現状となっています。(ここでいう世帯分離とは、同じ住所の世帯を住民基本台帳上だけで分離するという話しで、実際に別居するということではありません。市町村役場の窓口で手続きが可能です)
 そもそも個人の所得に比例して保険料を負担してもらおうとする長寿医療制度です。負担軽減のものさしとして、世帯主の所得を加味することは、理論上も整合性がありません。この点の改善は是非必要だと思います。

長寿医療制度改善への提案−2:低所得者の保険料に9割減額を
 茨城県の場合、ほとんど年金がない高齢者にも年間1万1200円の保険料を負担していただくことになります。無年金や特に所得の低い方を対象に、9割削減の保険料を設定するべきです。

長寿医療制度改善への提案−3:重度心身障害者への対応見直し
 茨城県では、重度心身障害者はマル福制度(医療福祉費支給制度)の適用が受けられるため、医療費が無料となります。ただし、65歳以上の高齢者の場合、長寿医療制度への加入がマル福制度適用の条件となっています。障害を持ちながらも社会保険に加入されている方は、長寿医療制度に移行すると、その高齢者の扶養家族は国民健康保険などに加入しなくてはいけないことになり、結果的に保険料負担が増えてしまうことになります。
 そのために、長寿医療保険にも移行しない、マル福制度の適用も受けられないといった方が出てしまいました。マル福制度自体は、都道府県または市町村毎の制度ですが、障害者への対応を柔軟に行い、負担が増えるケースを救済すべきです。