参考写真 5月28日、公明党の太田昭宏代表は、国会内で舛添要一厚生労働相に会い、75歳以上を対象に4月からスタートした長寿医療制度(後期高齢者医療制度)などについて、運用面の改善を求める申し入れを行いました。公明党から太田代表をはじめ、斉藤鉄夫政務調査会長と福島豊衆院議員、地方議員の代表が出席しました。伊藤渉厚労大臣政務官(公明党)も同席しました。
 太田代表は、長寿医療制度が高齢者の特性を踏まえた適切な医療サービス提供のために導入されたものであり、制度の根幹は維持する考えを改めて表明しました。その上で、国民のさまざまな批判を真摯に受け止め、運用上の問題点を点検するため、47都道府県の公明党の地方議員が、改善点についての調査を行った経緯を説明しました。
 この調査結果を基に、太田代表は、低所得者の保険料の負担軽減に関して、年額79万円以下の基礎年金受給者については、「(均等割部分の減額割合の上限を)7割から9割に引き上げる」ことを要請しました。年金からの保険料天引き(特別徴収)については、現行では年金が年額18万円以下の人は免除されているが、その対象を年金額が79万円以下の人まで拡大するよう要望しました。
 また、(1)被用者保険で被扶養者であった人(例えば息子さんと同居して、その扶養家族となっていたお年寄り)の保険料の軽減措置を継続、(2)高齢者の特性を踏まえた適切な健診のあり方を検討し、広域連合における実施を支援、(3)終末期相談支援料など診療報酬体系の適切な見直し、(4)70〜74歳の高齢者の窓口負担1割の軽減措置を継続、(5)都道府県知事の広域連合における運営責任の明確化も求めました。
 舛添厚労相は、公明党の地方議員の調査活動に対し、「現場の声が一番大事だ」と謝意を表明。公明党の調査で、これまで被用者保険の被扶養者だった人の保険料軽減を判定する際の収入基準を、世帯単位から個人単位に見直すべきとの意見が多かったことに対し、厚労相は「ここは不公平感があるので、何らかの改善策がないか、工夫したい」と前向きな姿勢を示しました。
 また、天引きの見直しについても、「大きな反対が市町村長からあるが、水準の引き上げをやるかどうか検討したい」と述べ、年金額の基準の引き上げを検討する考えを示しました。
 今回の運用面での改善申し入れの意義は、現場の意見の集大成であるということです。ここでいう現場とは、公明党の3000人あまりの地方議員が、お年寄り本人やその家族とまさに膝詰めで対話した結果が、取りまとめられてものです。
 長寿医療制度の実施にあたっては、その導入の基本理念、負担軽減策など、丁寧な説明が少なすぎました。その結果、実際には負担が半分以下にも下がっているにもかかわらず、医療サービスの質も全く変わっていないにもかかわらず、お年寄りにはたいへん絶望的な制度であるとの印象を与えてしまいました。この誤解を払拭するために、公明党の地方議員は徹底的に、対話を繰り返し、なぜこのような状況に陥ったのか真剣に検討し議論を積み重ねてきました。その結果、長寿医療制度に潜む欠点も明確となり、今回の見直し提案に結実したものです。
 特に、保険料の軽減の基準を「世帯単位」から「個人単位」とする提案や、都道府県知事の責任を明確にする提案は、地方議員が係わって初めて実現したものだと思います。軽減基準の問題は、既にその矛盾が介護保険制度の中でも指摘されていました。一部野党は、世帯分離や世帯主の変更を組織的に進めるなど、日本の家族制度自体を混乱させる姑息な運動を広めています。もし、この改善提案が実施されれば、10年来の課題が解決することになります。
 広域連合の運営責任の問題は、今、解決しておかないとたいへんな災いを招くこととなると思います。広域連合の責任者は、市町村長の持ち回りになっています。その議会は、各市町村議会の議長が中心です。中長期の責任ある運営体制とは言い難い実態があります。時あたかも、茨城県では、同様の運営体制をもつ国保連では、11億円あまりの横領事件を発生するという不祥事が起こりました。管理運営体制の強化を今のうちに行うことが非常に重要です。
 今回の改善提案は、47都道府県本部からの報告書を含め、厚さが2cmもある文字通り重みのなる提案書であったとのことです。この現場の声が国会の場で十分検討され、早期に改善されることを強く期待いたします。