22市町村で負担増/後期高齢者医療制度
朝日新聞(2008/6/09)
 厚生労働省が4日に発表した後期高齢者医療制度の保険料負担の全国実態調査で、子ども夫婦と同居世帯の場合、県内の自治体の半数にあたる22市町村で、国民健康保険(国保)に加入していた時よりも保険料の負担が増えるケースがあることが、県国民健康保険室の調査でわかった。
 新制度は、75歳以上の全員と一定の障害がある65〜74歳が加入、県内の対象者は約31万人にのぼる。厚労省の実態調査では、県内では新制度に移った高齢者世帯の78%で保険料が軽減されることになっている。
 調査では、75歳以上の高齢者世帯が、新制度と4月以降も国保のままだった場合の保険料を比較した。試算の対象としたモデル世帯は(1)75歳以上の単身世帯(2)夫婦ともに75歳以上の世帯(3)夫が75歳以上、妻は75歳未満で国保に加入する世帯(4)75歳以上の高齢者と国保加入の子ども世帯の4タイプ。さらに、年金受給額を年間79万円、201万円、400万円に設定し、計12ケースで試算を出した。
 最も負担増となる市町村が多かったのが、(4)の世帯で高齢者の年金収入が79万円の場合。県内16市町村で国保よりも保険料が400円〜1万7500円増えた。取手、古河、筑西市で1万7500円。これに対し、保険料が減少した28市町村。つくば市の削減額が最も大きく2万1200円安くなった。
 県後期高齢者医療広域連合によると、新制度では保険料が世帯ごとの所得を元に計算されており、(4)の場合は子ども夫婦の収入も考慮したうえで保険料が決まるため、負担増の場合が多くなるという。
 また、試算した12のうち8ケースで負担増となったのは東海村。なかでも、(2)の世帯で、年金収入が400万円の場合、保険料は年7万900円の負担増となる。
 東海村では一般会計から国保に約3億5千万円を毎年繰り入れている。他の自治体より保険料が割安だったため、新制度で高齢者が大きな影響を受ける自治体の一つだ。同村には4月以降、「保険料が高くなった。いくら支払ったか分からないので、天引きはやめてほしい」といった問い合わせや苦情があるという。
 問い合わせは、県国民健康保険室(029・301・3171〜2)まで。

 6月4日に公開された厚労省の調査結果によると、長寿医療制度に国民健康保険から移行した際に、お年寄り所得が子供さんが世帯主である世帯で同居している場合、保険料が高くなってしまう割合が多いと指摘されています。
参考写真
 9日には、各都道府県ごとの厚労省が分析した基本資料が公表されました。朝日新聞の10日付の記事は、その内容を紹介したものです。確かに茨城県内の市町村にあっても、「75歳以上の高齢者と国保加入の子ども世帯」で、年金収入が79万円(基礎年金のみ)の場合、16市町村で長寿医療制度に移行すると保険料が高くなります。同じように年金201万の世帯で16、年金400万世帯で13自治体で保険料が上がるケースがあります。
 しかし、上の表に取りまとめたように、長寿医療制度に移行して保険料が上がるケースは、むしろレアケースであることをご理解いただけると思います。
 引用した朝日新聞の記事には一切間違いはありません。しかし、一部のケースを抜き出して、それを見出しだけで扇情的に報道する姿勢には疑問を感じます。
減免基準をお年寄り本人の所得に限定する見直しが必要
 さて、国では与党プロジェクトチームを中心に長寿医療制度の運用上の見直しが急がれています。今回負担増となった同居世帯のケースの多くは、保険料減免の基準が世帯主との所得の合算にあることは明らかです。
 同居している子供(世帯主)の所得によって、お年寄りがたとえ無収入であっても37400円の保険料が賦課されることになります。この制度の見直しは絶対に必要です。これには、1000億円規模の追加予算が必要とされ、与党PTでも公明党と自民党の議論がわかれるポイントとなっています。ぜひ、政府にあっては、英断を持って減免の基準を「お年寄り本人の所得に限る」ことにしていただきたいと思います。