政府が来年(2009年)創設を目指している「消費者庁」の具体化に向け法整備の手順などを示す「消費者行政推進基本計画」がまとまりました。「消費者庁」設置法案、地方の消費生活センターの機能強化を図る新法案、消費者庁に所管が移る法律の改正案−などの提出を8月下旬にも召集される臨時国会に予定しています。 
参考写真 基本計画では、「消費者庁」が満たすべき原則として、(1)消費者にとって便利で分かりやすい、(2)消費者がメリットを十分実感できる、(3)迅速な対応、(4)専門性の確保――など6項目を挙げています。
 また、「表示」「取引」「安全」「物価・生活」の4分野にかかわる30の法律の移管や共管により、各省庁の縦割りを超えて幅広い分野を対象とした横断的で強い権限を付与するとしています。
 「消費者庁」は内閣府の外局とし、消費者行政担当相を常設。「消費者行政全般の司令塔」として位置づけ、他省庁や業者への強い勧告権を持つことになります。消費者からの苦情相談窓口を一元的に担い、悪徳業者などから違法収益剥奪(はくだつ)といった被害者救済の新法制定も検討します。
消費者行政推進会議の報告書要旨
  • 内閣府外局として消費者庁を設置。強力な総合調整権限、勧告権、企画立案機能を付与。消費者行政担当相を置く。
  • 消費者からの苦情相談受け付けから法執行に至る対応を規定した新法の成立に向けて取り組む。新法で国と自治体が、国民生活センター、消費生活センターに一元的な相談窓口を設置することを規定する。
  • 父権訴訟(国が被害者の代わりに損害賠償請求できる)、違法収益剥奪も視野に入れつつ、被害者救済のための法的措置の検討を進める。
  • 消費者庁は法律に基づく緊急時の物価対策や公共料金など物価関係法令を所管する。物価の安定は消費者の利益の擁護、増進のために不可欠な条件。また消費者や生活者が主役となる社会を構築にかかわる法律を幅広く所管する。
  • 「表示」に関する法律として景品表示法、日本農林規格(JAS)法、食品衛生法、健康増進法、家庭用品品質表示法、住宅品質確保法を移管、共同所管(共管)する。
  • 「取引」に関する法律として消費者契約法、無限連鎖講防止法、特定商品預託法、電子消費者契約法、特定商取引法、特定電子メール法、金融商品販売法、出資法、貸金業法、割賦販売法、宅地建物取引業法、旅行業法を移管、共管する。
  • 「安全」に関する法律として製造物責任法、食品安全基本法、消費生活用製品安全法、食品衛生法、有害物質含有家庭用品規制法を移管、共管する。
  • 「生活・物価」に関する法律として消費者基本法、国民生活センター法、個人情報保護法、公益通報者保護法、特定非営利活動促進法、国民生活安定緊急措置法、買い占め及び売り惜しみ防止法、物価統制令を内閣府から移管する。
  • 運営に消費者の意見が直接届く仕組みとして、有識者からなる消費者政策委員会を設置し、意見具申を行う。