参考写真 7月11日、アップル社の携帯電話「iPhone(アイフォーン)」が、いよいよ国内でも販売開始されました。日本ではソフトバンクで、11日正午からの販売ですが、唯一表参道店では、朝の7時から発売するとのことで、発売の72時間前から人が並び始めました。携帯電話の発売で販売前から人が並ぶというのはこれまでにはなく、まるでゲーム機や人気ソフトの新発売のときのような状態でした。前日夜には、ソフトバンクの孫正義社長が、行列を作っている熱心なマニアを激励するなど、したたかな営業戦略が注目を浴びました。
 日本でiPhoneがどの程度支持されるのか。それによっては日本の携帯電話の市場が大きく変わるきっかけになるかもしれません。
 iPhoneは、これまでの携帯電話とはかなり違う方向性があるようです。
 2007年6月にアメリカで第1世代のiPhoneが発売されてから1年で販売台数は世界で600万台に達したといわれています。おサイフケータイの機能がない、絵文字が使えないなど、日本のユーザーにとっては足りない部分もありますが、iPodとしても使えてインターネットにも高速接続できるなど、メリットも多いiPhone。購入価格も23,040円からと安く設定されています。果たしてiPhoneは、ガラパゴス状態といわれる日本の携帯電話界の眠りを覚ます黒船になるのでしょうか。
iPhoneは何が違うのか
 iPhoneは単なる電話機ではなくて、インターネットにもつながり、iPodとして音楽も楽しめ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタンス/電子手帳)としてもすぐれた機能を持つ、新しい概念の携帯ツールです。インターネット接続は、携帯の電波を使ったEDGEの他、Wi-Fi(無線LAN)、Bluetoothなどさまざまな無線アクセスが可能。パソコンで使っているメールをどこででもチェックでき、内蔵されているMac用のウェブブラウザ「safari」(サファリ)で、携帯用の画面ではなく、PC用のホームページを自由に見ることができます。
 またiTuneを使って、iTuneミュージック・ストアにアクセスして、音楽を購入しiPodのライブラリーを増やすこともできます。
 さらにiPhoneは、カレンダーやアドレスブックをコンピュータと同期することができます。スケジュールをコンピュータと共有したり、アドレスブックから電話をかけたりと、iPhoneの中のさまざまな機能をシームレスに利用することができます。
 この他にもさまざまな機能がウィジェット(Widget)として用意されています。たとえばGoogle Mapsを利用した地図検索や天気情報などさまざまなウィジェットが搭載されていますが、このようなウィジェットの開発環境は一般に公開されており、今後もさまざまな機能が世界中の開発者から提供されることになるでしょう。
日本のユーザーが求めるものは
 iPhoneに対する否定的な意見の代表としては、「おサイフケータイが使えない」、「デコメールが使えない」というものがあります。これらはいずれも日本のケータイ文化が生み出した独特のもので、世界の他の国の携帯にはありません。従ってこれらの機能は将来もiPhoneに搭載されることはないでしょう。edyやスイカなどが使えるおサイフケータイが必須となっている人にとっては、iPhoneは選択肢とはなりません。
iPhoneの価格は23,040円から
 iPhone本体の販売は24カ月の分割払いが基本になります。この場合、8GBだと、月々960円(24カ月で23,040円)になります。16GBは、月々1,440円(24カ月で34,560円)。これは携帯電話の販売制度が変わって高額になった最近の携帯の中ではきわめて安い価格といえます。
 しかしiPhoneの場合は、インターネットに接続して使うケースが多いので、パケット定額フル(月額5,985円)とS!ベーシックパック(i)(月額315円)の加入が必須となっています。たしかにパケット定額フルにしておかないで、パケット代を従量制で支払ったら大変な金額になってしまいますから、これは仕方ないでしょう。これら月々にかかる料金を加えるとiPhone8GBの場合に必要な金額は月々8,240円となります。データー使い放題の料金プランとしては、極端に高いことはないと思います。
iPhoneの特徴は携帯電話としての機能そのものよりライフスタイルへの提案
 iPhoneが提案する携帯シーンは、常に音楽とともに生活するライフスタイルの延長にあるのかもしれません。私も2台目の携帯としてイーモバイルのS11HTを使っています。携帯電話、インターネット、GPS、カレンダー、住所録などiPhoneと同等以上の機能を持っています。操作も基本的には、タッチパネルを使いますが、スライド式のキーボードがついています。やはり、入力の基本はキーボードです。私のように、インターネットの閲覧や文書や表集計ソフトの入力が主な使い道であるものにとっては、iPhoneは選択肢とはなりません。
 様々なニーズにあった携帯電話が市場に出回ることは、とてもすばらしいことだと思います。さらに一言付け加えれば、こうした高付加価値の製品を日本のメーカーもぜひ世界に発信してもらいたいものです。
参考:アップルJAPANのホームページ