参考写真
 7月15日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会では、石井啓一衆議院議員らと共に東海村の大強度陽子加速器施設「J−PARC」を訪れ、完成間近な道施設の概要を調査しました。
 J−PARCは、Japan Proton Accelerator Research Complexの略で、世界最高クラスの大強度陽子ビームを生成する加速器と、その大強度陽子ビームを利用する実験施設で構成される最先端科学の研究施設です。
参考写真 J−PARCは、日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で建設、運営を行っています。大強度陽子加速器を用いた科学技術の総合的展開を図るために、JAEAの中性子科学研究計画と、KEKの大型ハドロン計画という各々が提案していた2つの計画を共同プロジェクトに統合し、平成13年度に建設に着手したものです。平成20年12月に第1期工事を完成させ、研究をスタートさせる予定です。総事業費は1400億円に上ります。
 J−PARCには、リニアック、3GeVシンクロトロン、50GeVシンクロトロンの3種類の加速器が建設されています。
それぞれ使用目的により、3GeV陽子ビームを利用するのが中性子源とミュオン源のある物質・生命科学実験施設。50GeVシンクロトロンからの陽子ビームは原子核素粒子実験施設(ハドロン実験施設)、ニュートリノ実験施設の2つの実験施設へ供給されます。
 茨城県では、中性子の産業利用を推進するため、J−PARCに、材料構造解析装置(i MATERIA)、生命物質構造解析装置(i BIX)の2本の中性子ビーム実験装置を整備しており、企業の新技術・新製品開発を支援することにしています。
 材料構造解析装置は、水素・リチウムなどの軽元素を含む構造や磁気構造を特殊環境下にて高精度に短時間で効率的に解析することが可能なため、燃料電池や高温超伝導材料などの開発に威力を発揮します。
 生命物質構造解析装置は、タンパク質等の機能・化学反応に寄与する水素・水和構造の解明が可能であり、新薬の創製やより安全な薬の開発などが期待されています。
 現地調査後のJ−PARCの永宮正治センター長との意見交換では、世界中から集まる研究者の研究環境を整備する必要性やその家族などの生活環境の整備が必要との声が寄せられました。
(写真上:茨城県の材料構造解析装置、50GeVシンクロトロン装置を視察する井手よしひろ県議ら)
参考:J−PARCのホームページ
素粒子の世界探る
公明新聞(2008/7/17)
最先端研究施設を視察・茨城・東海村で石井氏ら
参考写真 公明党茨城県本部の石井啓一代表(衆院議員)は7月15日、同県東海村にある大強度陽子加速器施設(J―PARC)を視察。井手義弘、高崎進両県議や東海村の井坂成子、岡崎悟議員をはじめ、近郊の公明議員が同行した。
 今年12月に一部供用開始となるJ―PARCは、原子核や素粒子の世界を調べるための大規模な施設。陽子を光速近くまで加速し、原子核と衝突させ、中性子やニュートリノなどの2次粒子ビームをつくる。中性子については、医薬品開発や新産業創出への利用が期待される。
 視察後の懇談で、永宮正治センター長は外国人研究者受け入れの環境整備などに協力を求めた。石井氏は「施設が有効活用できるよう予算確保に努める。地域活性化にもつなげたい」と語った。


中性子使い物質構造分析、装置性能が世界最高に 高エネ研など
日本経済新聞(2008/7/18)
 高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構は17日、中性子を使って物質の構造を調べる装置で世界最高の性能を達成したと発表した。茨城県東海村に建設中の大強度陽子加速器施設(J―PARC)に設置する。特殊な性質を持つ物質の構造など幅広い研究に威力を発揮し、新しい電子材料などの開発に役立ちそうだ。
 粉末状にした物質に中性子線を当てて原子の位置や並び方を調べる装置で、どれだけ鮮明な画像が得られるかを決める分解能という能力が0.037%になった。これまでは英国の研究所が持つ装置が最高だった。
 中性子を使ってたんぱく質や物質の構造を調べる施設は12月に稼働する予定で、新薬や新素材などの開発に役立つと期待されている。茨城県や高エネ研、原子力機構は日立製作所などの企業とともに中性子産業利用推進協議会を設立して、産業振興に役立てようとしている。