7月30日文化庁は、2009年9月に正式に決定されるユネスコの無形文化遺産の代表一覧リストに、雅楽や京都祇園祭の山鉾行事など14件の記載を提案することを発表しました。この中に、日立市の伝統芸能である「日立風流物(ひたちふうりゅうもの)」も含まれ、地元では、「長年の苦労が実った」「これで風流物も全国区だ。いや世界的にも認められた」と、関係者や保存団体から大きな喜びの声が起こっています。
 2006年一昨年発効したユネスコの無形文化遺産保護条約に基づくもので、今回が第1回。すでに「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」に選ばれている能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎は無形文化遺産に統合される。
ユネスコ無形文化遺産について
日本ユネスコ協会連盟のホームページから
 2006年1月20日、「無形文化遺産の保護に関する条約(無形遺産条約)」の締約国が30カ国に達し、条約は、3ヵ月後の2006年4月20日に発効しました。
 無形遺産条約は、これまで民族文化財、フォークロア、口承伝統などと呼ばれてきた無形の文化を人類共通の遺産としてとらえ、保護していくことを目的に作成され、2003年の第32回ユネスコ総会において、賛成120カ国、反対0、棄権8カ国で採択されました。日本は2004年6月、3番目の締約国として条約を締約しています。
 UNESCOは、無形遺産条約に先立ち、無形の文化遺産を保護するための事業として、2001年より隔年で、世界の伝統的な文化の表現形式や文化空間を「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」として発表しています。口頭伝承や無形の文化形式の大切さを認識すると同時に、政府、地方自治体、NGOなどが率先してそれらの保護活動を行い、未来へ継承していくことを目的としています。2001年に第1回目、2003年に第2回目、2005年に第3回目の発表が行われました。日本からは「能楽」、「人形浄瑠璃文楽」、そして新たに「歌舞伎」が登録されています。無形遺産条約の発効後、この宣言で発表されたリストは条約の枠組みの中に編入されます。

 無形文化遺産は、「普遍的な価値」を審査のポイントとする世界遺産と違い、世界的に一層認知されることを目的としており、専門機関による価値評価は行われません。したがって、国内での推薦がそのままユネスコとでの決定となるために、「能楽」、「人形浄瑠璃文楽」、、「歌舞伎」の傑作宣言の3件とあわせて、計17件がユネスコ政府間委員会で無形文化遺産に決定される予定です。
ユネスコ無形文化遺産推薦予定候補
重要無形文化財雅楽(宮内庁式部職楽部)
染織:小千谷縮(おぢやちぢみ)越後上布(じょうふ)
手漉き和紙:石州半紙(ばんし)
重要無形民俗文化財日立風流物(ふりゅうもの:茨城県日立市)
京都祇園祭の山鉾行事(京都市祇園)
甑(こしき)島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)
奥能登のあえのこと(年中行事:石川県)
早池峰(はやちね)神楽(岩手県花巻市)
秋保(あきう)の田植踊(仙台市)
チャッキラコ(神奈川県三浦市)
大日堂舞楽(秋田県鹿角市)
題目立(たて)(奈良市)
アイヌ古式舞踊(北海道)
選定保存技術木造彫刻修理(美術院)
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 「日立風流物」は、毎年4月のさくら祭を中心として、日立市宮田地区の鎮守の神峰神社の祭礼に、高さ15メートルの山車を出す行事です。山車の上部では操り人形の芝居が上演されます。表山と裏山の表裏2場面で芝居が行われ、その場面展開ではだしが大きく180度回転されるなど、勇壮かつ繊細な出し物に人気があります。歴史は江戸中期にまで遡り、現在は4地区がおのおの1台の山車を保存して、持ち回りで公開をしています。1977年には国の重要無形民俗文化財に指定されています。
参考:日立風流物・7年ぶりに4台勢揃い大公開
参考:日立風流物の大公開のフォト・シネマ(2005/5/3)