大型SC開店ずれ込む イオン、2010年秋以降に 那珂
茨城新聞(2008/08/31)
 大手スーパーのイオン(千葉市)が今年4月のオープンを目指し、那珂市内に建設を予定していた大型ショッピングセンター(SC)の開店時期が2010年秋以降になることが分かった。2年前に市へ出店を打診して以降、手続きが進まないまま改正都市計画法が施行。大規模集客施設は郊外出店が規制され、出店には地元自治体の手続きが必要になったが、イオンから市に対する具体的な手続きの申し入れはない。開店時期はさらに遅れ、出店計画が白紙になる可能性も出てきた。
 イオンは今年5月、市役所を訪れて計画の変更を説明した。秋までに関係機関と事前協議を済ませ、承認を得て09年秋着工、10年秋開店の青写真を描く。出店打診時の計画では、店舗形態はイオンモール水戸内原と同じモール型で、敷地面積約16万平方メートル、延べ床面積約6万7000平方メートルになる見通しだった。
 イオンは06年4月、市に出店を打診し、手続きを進める方針を示していた。
 だが、手続きに進展がないまま、大規模集客施設の郊外出店を制限する改正都市計画法が施行。延べ床面積1万平方メートル以上の施設が出店できる用途地域は近隣商業、商業、準工業地域の三種類に限定された。
 予定地は工業地域と市街化調整区域のため、出店するには市が用途地域を変更したり地区計画を作成する必要がある。だが、イオンから具体的な申し入れはなく、市関係者は「開店時期はイオン次第だが、10年秋は無理」との見方を示す。
 地元住民や地権者からは「出店は白紙になった。イオンは撤退する」などの声が上がっている。イオン広報部は茨城新聞の取材に対し「あくまで出店を計画している物件の一つ。現在は関係機関と調整中」とコメント。開店時期を含めて明言を避けた。
 市はイオン出店で固定資産税など年間約1億5000万円の税収増と約1000人の雇用創出を見込んでいる。

 イオン那珂新店問題は、用地の問題や水路の問題などで具体的計画が遅れていました。昨年、改正都市計画法が施行され、出店のためには、那珂市が地区計画を作成し、面的な整備計画を議会承認を受けて作成することが必要になりました。県内で地区計画まで作成し、大規模商業施設を導入した事例は未だに一件もなく、茨城新聞の記事にある2010年以降という観測も、現実には非常に厳しくくなっていると思われます。
 一番の課題は、立地用地の確保と共に那珂新店をオープンさせた場合は、既存店をクローズすることにもあります。「(那珂)市はイオン出店で固定資産税など年間約1億5000万円の税収増と約1000人の雇用創出を見込んでいる」とありますが、閉店との相殺でこれだけの効果が地元にあるかどうかは疑問です。