公明党、緊急の経済対策として強く実施を主張している「定額減税」について、整理しておきたいと思います。
 「定額減税」とは、所得税・住民税などから一定額を差し引く減税のことです。納税額(所得)の高低に関係なく減税されるので、低所得者に手厚い政策です。毎月の給料から天引きされる税金が減額されるために、物価高の直撃を受ける所得の低い層には、生活を力強く支える効力があります。
参考写真 減税の規模は決まっていませんが、1998年に橋本内閣が行った「定額減税」では、世帯主に26000円、扶養家族一人当たり13000円の減税を行いました。夫婦と子ども二人の4人家族では、65000円の減税が行われました。
 私はこの「定額減税」を年末調整に合わせて12月に行うことが望ましいと主張してきましたが、福田総理の退陣を受けて、国会の日程の上では、早くても来春2月か3月になりそうです。
 そもそも税金を払っていない課税最低限以下のひとたちには、福祉特例給付金(仮称)を支給することを検討しています。
 この「定額減税」は期間限定の特別措置で、原則1回限り行うことになります。
 重要なのは、その「定額減税」の財源問題です。福田康夫首相は8月29日の記者会見で、定額減税をやるのであれば、そういう形(赤字国債)で財源を手当てすることは考えていない」と述べています。98年と同規模に「定額減税」を実施するためには、4兆円の財源が必要となります。公明党も福田首相が指摘するように、赤字国債の発行なしに、行財政改革、無駄の一掃、特別会計の見直しで財源を確保するべきと、具体的に10項目を挙げています。中でも、すでに3年間で約27兆円をねん出して財政再建に有効活用した特別会計の徹底見直しには、全力を挙げて取り組むべきです。平成19年度だけでも特別会計の予算と決算の間には、15兆円もの余剰金が生まれています。国民の非常時に、こうした特別会計を活用することは大切なことです。
 「定額減税」には、常にバラマキ批判がつきまといます。この政策を先頭切って批判しているのは朝日新聞かもしれません。8月30日付の社説では「景気が後退期に入って税収が不足し、年度末に国債を追加発行せざるをえなくなるのは目に見えている。低所得層への手助けは考えるべきだが、それを定額減税のような手法で行う余裕は、いまはない」と言い切っています。
 ここまでマスコミが庶民の生活感覚からかけ離れているとは思いませんでした。多分、年収1千万を超える社説氏(社説を書いた人という意味です)には、年収200万以下で呻吟する人たちの姿は見えないのかもしれません。私は、「バラマキ」をあえて定義するならば、「借金をして(赤字国債を乱発して)、効果の薄い公共事業を行ったり、特定の利害集団に税金を投入すること」としたいと考えます。
 財源問題さえ間違えなくれば、定額減税は、行き過ぎた格差社会の中で、所得の再配分を可能とする最良の政策であると確信します。