9月5日、県議会の財政再建等調査特別委員会が開かれ、県や県出資団体が保有する土地の下落によって、将来的に約1700億円の新たな財政負担が生ずる見込みを明らかにしました。
 県は保有土地の価格下落対策費として本年度は約100億円を支出、来年度以降も年間平均で約80億円の負担を見込んでいます。今後20年間で、1680億円を負担する計画です。負担額増大の背景には、土地需要の減退見通しや、地価の大幅下落による取得額と実勢価格の差額の拡大があります。
 今後、県は財政状況を考慮しながら、効果の高い対策を講じていくとしています。
 具体的には、県の工業団地やつくばエクスプレス(TX)沿線開発の保有地ほか、県住宅供給公社と県土地開発公社、県開発公社がそれぞれ保有する未分譲地は、計約1315ヘクタールに上っています。県は土地処分の促進や公社の経営支援、土地取得時の借入金残高への対策として補助金などを支出しています。
参考写真 県は、各事業の完了などが見込める1029年度ごろまでの対策が必要とみて、今後の新たな支援策も含めた将来負担について、住宅供給公社約504億円、土地開発公社67億円、工業団地362億円、開発公社156億円、TX沿線開発590億円で、総額を約1680億円と想定しています。
 県は本年度、住宅供給公社に46億円、土地開発公社に10億円の経営支援補助金、公共工業団地への利子補給、利子負担軽減に33億円など計約100億円を負担しました。
 来年度以降は、公社の決算に低価法が適用され、土地の原価と時価で低い方が資産の評価額となり、資産の目減り分が評価損として計上されることから、新たな対策の検討も必要とされています。
 開発公社は低価法適用で、来年度決算に未分譲地約198.3ヘクタールの取得原価と時価の差額約46億円を評価損として計上する予定です。それにより、2010年度決算時には約4億円の債務超過に陥るとみられています。県は来年度から債務超過回避のための支援策を実施する方針です。
 TX沿線開発の土地処分実績は、全体面積約412ヘクタールの約13%にとどまり、県債残高は約2175億円(07年度末)に上っています。今後の土地処分で1315億円の収入を見込んでいます。公共利用を予定する大規模緑地など(54.7ヘクタール:270億円)を差し引くと、県の負担額は、590円程度となります。県は早期の土地処分を全力で進めるとともに、想定した負担額の抑制策を進めるとしています。
 県が将来負担額を積極的に公開して、早めの対策の方向性を明示したことは評価できますが、比較的好調なTX関連でも590億円の負担が出る現実には驚かされます。