民主党小沢一郎代表の選挙目当てのパフォーマンスが、様々な批判を浴びています。
 ここでは、民衆党の外交政策、特に「国際平和協力」について、公明新聞などの報道を中心にとりまとめてみたいと思います。
参考写真 国連のめざす「国際の平和と安全の維持」のために自衛隊を活用する「国際平和協力」については、与党と野党、特に民主党との間で議論が対立しています。
 国の基本政策である安全保障について責任政党の間で基本的な一致があることは重要でです。しかし、「国際平和協力」に関し、最大野党の民主党の党内議論が混乱していることは、建設的な安全保障論議の大きな障害になっています。
 民主党の基本政策とマニフェスト(政権綱領)、また、小沢一郎代表が9月8日に発表した「新しい政権の基本政策案」の中から、「国際平和協力」に該当する部分を取り上げると、「国連を中心とする世界平和の構築」「国連改革の推進」「国連平和維持活動への憲法の枠内での積極的参加」「海外における武力の不行使」と要約できます。これらは与党の考え方とほとんど同じです。
 しかし、具体的な政策対応では、政府と180度真反対の姿勢を取ってきました。
 イラク復興支援特別措置法(イラク特措法)の場合、民主党はイラク戦争には正当性がないとして復興支援への自衛隊派遣に反対しました。しかし国連は、イラク戦争の正当性とイラク復興の問題を明確に立て分けて考えました。その上で、国連加盟国に復興への協力を求める安全保障理事会決議を採択したのです。復興支援はまさに国連の要請であり、それは、民主党がいう「国連を中心とする世界平和の構築」に当たる活動そのものです。
 また昨年末、アフガニスタンでのテロ対策を支援する補給特措法論議で、小沢代表は、アフガニスタンの戦争は米国が勝手に始めた戦争であり、インド洋上で自衛隊が実施している各国艦艇への洋上補給活動も国連とは無関係であり認められない、と一方的に主張しました。しかし、アフガニスタンでのテロ対策は国連がオーソライズした活動であり、インド洋上で麻薬やテロリストの流出入を阻止する活動も、本土のテロ対策を下支えする活動と位置づけらます。その任務に就く各国艦船に補給をする自衛艦の活動も国連の枠内の活動であることは世界も認めています。
 その一方で小沢代表は、国連安保理決議に基づいてアフガニスタン本土で実施されている治安維持や地域復興にこそ日本は参加すべきと述べています。政府・与党が自衛隊による本土での活動を認めなかった理由は、武力行使につながる懸念があり、民主党も言うように「海外における武力の不行使」が憲法の規範と考えているからに他なりません。
重要な「国際平和協力」の論争を回避?
 小沢代表はかつて、国連安保理決議が認める武力行使であれば日本も参加可能との見解を示しました。この考えは政府・与党とも民主党とも違います。この一点で民主党の「国際平和協力」の姿が不透明になっているのです。一党の代表が、党の決めた政策より一歩も二歩を逸脱した政策を述べ、それに対して党内では、何の議論も起こらない。民主党はこの重要な論争をなぜ回避しようとするのでしょうか。
民主党の政権政党としての限界が、そこに垣間見られます。
(写真は、防衛庁の補給支援活動ポスター)