情報開示を求め怒号飛び交う、「計画倒産では」との声も
参考写真 10月6日、リーマンブラザースの破綻によって貸し主の資金繰りが悪化し、10月15日で閉鎖される「さくらシティ日立」のテナント説明会が日立商工会議所で行われました。
 マスコミなど第三者の傍聴や取材は一切許されず、きわめて閉鎖的な雰囲気で説明会は行われました。今回の説明会を主催したのはニューシティー・エムエル・スリー有限会社の代理人の弁護士で、ニューシティー・コーポレーショングループの関係者は一人も出席せず、参加者からは「社会的、道義的責任を会社側はどのように考えるのか」との強い不満の声が寄せられました。
 冒頭、代理人弁護士からは、さくらシティ日立が閉鎖に至った経緯の説明がありました。その概要は以下の通りです。
 開店当初より、売上げが当初の目標に達せず、苦しい経営を強いられたとし、テナント管理会社(プロパティマネージャー)の変更を行った。また、食堂街(フードコート)の導入を図ったが、出店を希望する企業が見つからなかった。
 経営状況に改善がみられないため、昨年(2007年)11月より、さくらシティ日立の買い手探しを始めた。テナントごとの契約を継続する買い手を捜し、11月には競争入札を行った。一社が応札し、売買交渉を行ったが、今年2月中旬、購入断念を伝えてきた。その理由は、今年に入ってからの、不動産市況の変化であった。
 その後、別の買い手候補と交渉したが、テナントの退去が条件であったので断念した。
 そのような努力を続けてきたが、6月にローン返済期日を迎えた。貸付人からのローン返済期日(ノンリコースローン)が来た。この貸付人がリーマンの関連会社リーマン・ブラザース・コマーシャル・モーゲージ(株)である。ローンの支払いは出来ず、債務不履行になった。この時点で、法律上は敷金・準備金などは貸付金への弁済に充当されることになるが、貸付人の取り崩して運営に使っても良いとの了解を得て、どうにか運営を続けてきた。
 無理をしても営業を続け、売却先を捜す方針だった。
 中心市街地の活性化が進まない、また、周辺地域に客足が取られている状況の中で、不動産市況の悪化によって、買い取り候補が見つからなかった。
 7月下旬から8月にかけて、日立市と日立商工会議所に現状説明を行い、協力を要請した。前向きに検討するとの感触を得たが、9月上旬に、さくらシティ日立の購入は出来ないとの結論に至った。聞くところによると議会での承認が得られなかったとの理由であった。
 9月中旬、リーマンブラザースの本体が破綻。日立市、商工会議所も手を引いた。これを契機に、これ以上の状況の改善は期待できないと判断し、やむなく、さくらシティ日立を閉鎖するという、苦渋の決断を行った。
 売上げ管理システムによる9月分の売上げと10月分の賃料については、全額返却する方向で準備が進んでいる。9月前期分は9月末に、9月後半部分は、10月15日に返金さる予定である。
 敷金・保証金については、中々返金するのが困難である。テナントからの敷金相当額は16億9000億円強である。実質的にさくらシティ日立を運営するニューシティ・リアルエステート・トレーディング12(有)は8月末現在で、資産合計が7億2500万円強に対して、負債の合計が37億2150万円あり、完全な債務超過に陥っている。
 なお、テナントの原状回復は、敷金・保証金を返却できないので必要はない。
 こうした説明に対し、テナント側の参加者よりは、様々な質問が寄せられました。以下、そのおもな内容を取りまとめました。
Q:解約合意書のスケジュールについて
A:解約合意書を出来るだけ10月15日をめどに交わしたい。10月1日から15日までは賃料を徴収しない。交渉の窓口は、テナントごとに弁護士の担当を決めて行いたい。ビルとしての機能が停止する15日までに、退店していただく。法律上の解約契約については、その後なるべく早く締結したい。
Q:テナントの固定物については、実質的なゼロ譲渡に合意していただけるのか
A:各テナントごとの会計処理は異なるので、個別に協議したい。
Q:持ち込み資産が多く15日までに撤収できない。東電は20日頃まで大丈夫だと言っているのだが。
A:東電の通電については、15日以降確約が取れていないので、出来るだけ完了してもらいたい。真っ暗な中での作業は実質的に危険であり、無理があると思われる。
Q:この場にアセットマネジメントの(株)ニューシティコーポレーションの関係者が一人もいない。実際に当初契約に当たった人は一人もいない。その人のコメントを是非聞きたい。リーマンの話しもほとんど聞いていない。
A:ご意見として承る。
Q:解約合意契約が出来ていない中で、退店の話しが進んでいる。解約合意が済んだという前提では話は出来ない。今日は解約合意をするために集まったわけではない。もっと早く、知らせてくれたら混乱は避けられたのではないか。
A:15日にビルとして機能が提供できなくなる。その前に、退店の準備を進めてほしいという意味でご案内した。9月20日ごろお金が回らなくなることが明確になった。テナントへの連絡を故意に送らせたわけではない。
Q:解約合意契約を結んでから、退店をするのが当たり前だ。その上で、退店の話しをするのが筋だ。
A:(回答なし)
Q:敷金・保証金をテナントに戻す方法は無いのか。マスターリース契約の間に三菱UFJ信託銀行が介在している。その契約の中で、敷金を戻すことは出来ないか。
A:三菱UFJ信託銀行との契約には敷金を返還する契約はないので法的には難しい。
Q:サブリース契約、マスターリース契約、信託契約、ノンリコースローン契約の内容を開示していただけないか?
A:契約に守秘義務条項があるので、この場でお答えすることは難しい。
Q:ニューシティ・リアルエステート・トレーディング12の貸借対照表をみると、37億2000万円強の投資を行った物件で、資産評価額は7億2500万円となっている。簿価(取得価格)なのか時価なのか?
A:8月末の簿価である。失礼しました修正した時価です。
Q:19億で買った物件が、なぜたった3年余りで7億に価値が落ちるのか。課税評価額は15億と聞いている。
A:テナントビルなので、稼働率などによって資産価値は下がる。時価が課税評価額を下回る例もある。
Q:取得価格がいくらで、どのように修正したのか、その経緯も説明していただきたい。テナント側としても判断できない。開業後の損益も情報開示していただきたい。
A:前向きに情報公開を検討したい。
Q:リーマンのノンリーコースローンの引き当てになっている負債額はどの程度なのか?
A:ニューシティ・リアルエステート・トレーディング12は実質的にSPC(特定目的会社)なので、リーマン以外の引き当て負債はないと考えていただきたい。
Q:ニューシティ・リアルエステート・トレーディング12とリーマン・ブラザース・コマーシャル・モーゲージとのローンの内容も開示していただきたい。
A:承りました。検討する。
Q:7月に退店をしているが、ニューシティーコーポレーションとの解約合意契約書が、未だに結ばれていない。これまで何度も連絡を取っているが、担当者は逃げている。7月末で、このような状況(経営破綻)が予想できたのではないか?リーマンの破綻直前に担当者は辞めてしまっている。7月に退店した際は、原状回復まで多額の資金を投入している。
A:合意解約書はまだ成立していない。連絡が取れなかったことはお詫びしたい。

 資料の提出要望や当事者(ニューシティコーポレーション)の直接の説明を望む声が多く、テナント側の参加者は、退店期限である10月15日までに再度、説明会を開くよう要求しました。
(このブログ記事は参加者のメモ書きを参考に取りまとめたものです。主催者の正式な議事録とは異なります。取扱にはご注意下さい)