参考写真 公明党が主張している「全省庁のタクシーチケット廃止」への流れが着実に進んでいます。国土交通省は、冬しば鉄三元国交相(公明党、衆院選予定候補=兵庫8区)が決断した「タクシーチケットの使用中止」(6月23日から試行)の期間を延長し、今臨時国会の開会中を含め当面続ける方針です。また、環境省は、斉藤鉄夫環境相(公明党、衆院選予定候補=比例中国ブロック)が「廃止」を明言したのを受け、具体的な検討作業を開始しました。こうした動きを公明新聞(2008/10/22付け)記事より紹介します。
国交省“冬しば決断”で1ヶ月1億円が600万円に
 国会開会中の各省庁の職員は、国会論戦のための答弁づくりや資料要求への対応、各党や各議員へのレクチャーなどに追われます。当然、閉会中と比べて仕事量は格段に増え、午前零時過ぎでも、東京・千代田区霞が関の国土交通省には明々と電気がともっています。
 それでも国交省は、先の通常国会が閉会した6月23日から始めたタクシーチケットの使用中止を続けています。帰宅や帰庁などでのタクシー利用は事前申請した上で、料金を立て替え、領収書を添えて後日精算するシステムに変更されました。チケット使用中止後の1カ月間で、例年の同時期は約1億円だったタクシー使用の支出が1割以下の600万円にまで削減されました。
 しかし、タクシー使用の削減は、やむなく深夜まで残業せざるを得ない職員の働き方そのものと密接に関係していることを重視しなくてはいけません。
 例えば、国会開会中は、議員からの質問通告を受けて大臣答弁などを作成しますが、その通告時間が深夜の午前零時を過ぎることもしばしばだといいます。遅くなればなるほど関係部局は待機せざるを得ず、より退庁時間が遅くなってしまいます。国交省ではチケットの使用中止を試行した結果、終電に駆け込む職員や、職場近くのホテルに宿泊する職員が増えたといいます。また、仕事をやり遂げるために早朝、休日出勤などでカバーせざるを得ない場合もあるといわれています。国交省は、チケット使用の中止で、「タクシー利用そのものに自制心が働いている」と分析しています。
環境省:斉藤大臣がチケット廃止を明言、全省庁廃止で数十億円規模の節減効果も
参考写真 10月6日の衆院予算委員会で、公明党の赤羽かずよし議員(衆院選予定候補=兵庫2区)の質問に対し、斉藤環境相が「タクシーチケットの廃止」を明言したのを受け、環境省は現在、廃止に向け具体的な検討を進めています。
 環境省は「タクシーの使用を全面的に禁止するわけではないが、チケット以外の使用方法を検討している」として、各部局などから意見聴取しながら、国交省で試行している方法を念頭に検討しています。
 環境省のタクシー使用は既に2001年度から減少しており、2007年度決算では2001年度の半額となる1億1600万円にまで削減されています。
 具体的には、職員の帰宅方面を記した「相乗りマップ」の作成や、早期の退庁を促すため、館内が午後8時にいったん自動消灯するシステムの導入などの工夫を行っています。
 公明党の「税金のムダ遣い対策検討プロジェクトチーム」(山下栄一座長=参院議員)の調査では、全省庁のタクシーチケット使用は、年間78億円(本省と地方分の合計)に上ることが判明しており、チケット使用を中止した国交省のケースから、全省庁での廃止は50〜70億円規模の“ムダ削減”になると期待されています。
 公明党は、9月23日に交わした連立政権合意に「タクシーチケット(中略)など全省庁の行政管理経費の大幅削減」を盛り込み、今臨時国会では太田昭宏代表、浜四津敏子代表代行が代表質問で取り上げるなど、チケット全廃を強力に推進しています。
タクシーチケットとは:タクシーの後払い乗車券乱用で“ムダ遣い”の弊害も
 タクシーチケットとは、各タクシー会社などが発行している法人向けの後払い用乗車券のこと。タクシー会社が後日、基本的に1カ月単位で料金を一括請求します。利用者は、タクシーの降車時に利用した区間や料金などを自分で書き込んで運転手に渡すだけと、手続きは極めて簡単です。しかも、チケットを利用すれば、降車時に現金を支払う手間が省ける上に、経理処理の手続きの負担も軽減されます。
 ただし、各省庁のチケット利用については、タクシー会社の顧客囲い込みによる癒着などといった弊害が指摘されています。
 特に、今年(2008年)6月25日に発表された各省庁の調査によれば、タクシーの運転手から「今後もよろしくお願いします」と言われて現金入り封筒を受け取り、その後数回にわたり同じタクシーを利用したという事例や、ビールや商品券を複数回にわたって受け取っていた事例など、17府省・機関の国家公務員1402人が深夜帰宅のタクシーで運転手から金品を受け取っていた実態が明らかになっています。
 また、チケットは現金ではないため「税金を使っている」という感覚が薄くなり、乱用による“税金のムダ遣い”につながるとも指摘されています。