10月31日から、事業資金の調達に苦しむ中小・小規模企業の資金繰りを支援する新たな緊急保証制度(原材料価格高騰対応等緊急保証制度)が始まりました。資金需要が高まる年末を控え、各地の相談窓口には、すでに中小企業経営者や金融機関の担当者が、数多く訪れています。公明党は、政府に引き続き米国発金融危機の影響を最小限にとどめる万全の対策を求めていきます。
中小企業のイメージ写真 中小企業が資金調達に苦慮する要因には、急速な株価下落を背景とする金融機関の貸し渋りに加え、例えば、セーフティネット保証の指定業種外だったり、赤字決算、20%相当の信用リスクを負担する責任共有制度の影響による金融機関の慎重姿勢などが挙げられています。
 このため、緊急保証制度では、対象を全業種の約3分の2に当たる545業種に拡大し、保証制度の拡充を求める中小企業のほぼすべてをカバーしました。信用保証協会が100%保証し、貸し渋りにも対処したところです。
 新制度では、一般保証とは別枠で2億8000万円(うち無担保8000万円)まで利用が可能。審査には、過去3カ月の平均売り上げ高が前年同期比より3%以上減少しているなど一定の要件はありますが、赤字要因や取引先からの経営支援、地域への影響などの経営実態を幅広い観点から総合的に判断することになっています。
 金融危機の影響は、業種を問わず、規模を問わず、あらゆる分野の企業を直撃します。新制度の対象業種は、さらに拡充される方向であり、中小企業者からは、「時宜を得た施策」として高く評価されています。
 さらに、10月30日に発表された新たな経済対策では、緊急保証制度の保証枠に新たに14兆円規模の追加を行い、計20兆円規模に拡大。セーフティネット貸付についても10兆円規模にし、緊急保証制度と合わせて合計30兆円規模に大幅拡充することが決まっています。
 また、11月14日には、二階俊博経済産業相が緊急保証制度の対象企業を618業種に拡大すると表明しました。これで中小企業のほぼ全業種をカバーされることになります。
 ここにきて、大手企業の減収減益も相次いで伝えられており、多くの人が「100年に1度」との認識を共有する金融危機の実体経済への影響も顕在化しつつあります。金融危機の局面では、半年後、1年後に実ると分かっている事業に着手しても、手元に現金がないために倒産する場合や、1社の倒産が関連企業に影響する連鎖倒産などが、特に懸念されます。連動性を強める世界にあって、経済減速の影響を完全に避けることはできませんが、弾力的な制度の運用で避けられる実体経済へのダメージは、全力で回避する必要があります。
 一方で、気掛かりなのは、窮状にあえぐ中小企業者が、日常の業務に追われ、緊急保証制度の融資の内容を知らないケースも数多く見受けられることです。この緊急保証制度の周知徹底を進めることも重要です。
 また、業種の追加も、美理容業や福祉関連業種など、様々なご要望を受けています。この面でも、一層の取り組みが必要です。
参考:原材料価格高騰対応等緊急保証制度について(中小企業庁のHP)
緊急保証制度 618業種に拡大、予約制導入 経産省、資金繰り支援強化
FujiSankei Bisiness1(2008/11/8)
 経済産業省は7日、中小企業の資金繰りを支援する緊急保証制度について対象業種を545業種から618業種に拡大するほか、将来の資金繰り悪化に備えるための、予約保証制度を新設することも決めた。同日、幹部と地方の経産局長による「緊急拡大経済産業局長会議」を開き、二階俊博経産相が、支援を強化するよう指示した。
 民間金融機関からの融資が返済できなくなった場合、信用保証協会が100%肩代わりする緊急保証制度は、10月31日に開始した。これまで1万1495件の相談があり、信用保証協会はすでに、751件、計約150億円の融資保証を承諾した。各地の窓口で相談が増え続けていることから、対象を拡大することにした。対象業種の追加は14日からで、ソフトウエア開発、コンビニエンスストア、繊維機械製造などが加えられた。
 新設の予約保証制度は、21日から始める。1年先まで必要なときにいつでもすぐに保証が受けられるようにする。保証料は通常より0.2%程度上乗せされる。
 緊急局長会議では、二階経産相が、「地域の実情をしっかり把握し、対策に関する意見があれば申し出てほしい」と述べた。特に、独自の中小企業支援制度を持つ地方自治体や、民間金融機関との連携を密にするよう指示した。
 各地の経産局長からの報告では、中小企業経営者は「メガバンクによる貸しはがし、貸し渋り」や、「十分な説明なしに融資が断られる」ことに悩まされているという。
 また、「金融機関は金融庁から『貸すな』と言われた」と話す経営者も複数いたという。中小企業への融資を促すため、金融庁が公表した「金融検査マニュアル別冊」の趣旨が正反対に解釈されているとみられる。