県職員給与カット中止
茨城新聞(2008/11/28)
管理職は継続 予算編成難航も
 二〇〇七年度から二年間続けてきた職員給与のカットで、県は二十七日までに、管理職以外の一般職員については〇九年度に取りやめることを決め、県地方公務員労組共闘会議(県職組、茨教組、高教組、自治労)に通知した。給与カットは未曾有の財政危機から踏み切った措置。一般職員のカット解消により来年度の人件費は九十億円余り膨らむと見られ、厳しい予算編成を迫られそうだ。
 管理職については、職層によって給料月額3−5%・管理職手当10−20%のカットを来年度も継続する。
 一般職員の給与カット解消の判断理由について、橋本昌知事は、食料品などの物価高騰や「速やかに解消することを強く望む」とする人事委員会の指摘に加え、「(四期目の任期切れとなる来年秋の次期知事選を控え)時間的にも抜本的な対策を提案し、解決までもっていくのは難しいので、一般職については当面取りやめることにした」と述べた。
 本年度までの給与カットは、管理職が給料月額4−5%・管理職手当10−20%、一般職員が給料月額3・5%で実施。県全体に占める人件費削減効果は年間約百五億円に上っていた。しかし、管理職のみのカットとなる来年度の削減は約十四億五千万円にとどまり、人件費が一気に膨らむことになる。
 以前から〇九年度は四百億円程度の財源不足が見込まれているうえ、〇八年度の県税収入も原油高騰や金融危機による景気悪化の影響で、百八十億円以上の減収が見込まれている。危機的財政に変わりはなく、来年度の予算編成は難航を極めそうだ。

 アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した世界的な金融危機は、地方の経済にも深刻な影響を与えています。その具体例は、法人税の減となって県の財政を直撃することが懸念されます。合わせて、公務員の給与は、民間の給与水準に合わせて、決められることのなっていることを考えると、この時期に県職員の給与カットを中止することには、多いに疑問を感じます。
 橋本知事は給与カット中止の理由を、「(四期目の任期切れとなる来年秋の次期知事選を控え)時間的にも抜本的な対策を提案し、解決までもっていくのは難しいので、一般職については当面取りやめることにした」と、説明していますが、これは全く逆の判断といわざるを得ません。次の知事の県政がスタートするまで、給与カットは少なくとも、1年間は継続するという判断があって、しかるべきです。
○給与改定(給与カット)について
橋本昌県知事の記者会見から(2008/11/26)
読売新聞:県職員の給与カットの件でお伺いしたいのですが,管理職を除いて,来年度から一旦中止をする決断をされたようですが,先ほど知事がおっしゃったように,未曾有の財政危機の中で,県職員の給与カットを一旦取りやめるということに対して,若干,それで財政が大丈夫なのだろうかという意見もあると思うのですが,その辺の判断の理由と見通しというのでしょうか,その辺を教えてください。
橋本知事:確かに財政的には非常に厳しい状況にあります。しかし,食料品などの諸物価がこの春以来急騰しているわけでございまして,職員の給与カットを継続することについては,ご承知のように,人事委員会のほうから,「職員の士気や生活及び人材の確保に与える影響を深く憂慮するものであり,速やかに解消することを強く望む」と報告の中で強く指摘されておりますし,また,報告書を受け取った際にも,委員長から改めて厳しい意見もちょうだいしているところであります。
 そういった状況を踏まえた上で,我々としては,財政難だから何とかという考え方も十分あったわけでありますが,時間的にも,抜本的な対策を提案し,解決まで行くというのは難しいのかなということで,管理職については協力をお願いするものの,一般職については当面取りやめるということにしたものであります。
 先ほどもご質問にありましたように,道路財源の地方への1兆円の別枠の措置などがこれからどうなっていくかということ,あるいはまた,年末の来年度地財対策といったものを踏まえて,来年度予算についてはできるだけ歳出の見直しの徹底などもやりながら,何とか県民サービスへのしわ寄せと言われることのないようにしていきたいと思っています。
茨城新聞:同じような話で,県側から組合側への説明では,来年秋には知事選を控えているのでというようなことも理由に挙がったと聞いているのですが,それはもう少し解説していただくとどういうことでしょうか。
橋本知事:それは,きっと,彼らの意見,考え方としては,財政状況などを見ながら,その段階で仕切り直しすればいいのではないかという考えだと思いますが。
茨城新聞:いや,彼らのではなくて,県側からの説明で。
橋本知事:彼らというのは県側の担当者と言う意味です。組合側としても,任期が一応切れることになっているわけでございますから,その先までということについては抵抗もあったのだろうと思います。