参考写真 アメリカ時間1月20日午前、バラク・オバマ(Barack Hussein Obama, Jr.)前上院議員は、ワシントンの連邦議会議事堂前で大統領就任式に臨み、第44代アメリカ大統領に就任しました。アメリカ初の黒人大統領、47歳のまさにニューリーダーが誕生しました。
 就任式は「自由の再生」をテーマに行われ、大統領は演説に先立ち、「奴隷解放の父」リンカーン大統領が1861年の宣誓で使ったのと同じ聖書に左手を置き、「私、バラク・フセイン・オバマは、合衆国大統領の職務を誠実に遂行し、全力を尽くして合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」と宣誓しました。
 就任演説の冒頭でオバマ大統領は、「我々が危機の最中にいることは、現在では明白だ。我々の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争を行っている。我々の経済は、ひどく弱体化している。一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をすることなく、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果である。参考写真家は失われ、職はなくなり、ビジネスは台無しになった。我々の健康保険制度は金がかかり過ぎる。荒廃している我々の学校はあまりにも多い。さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが、我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、日増しに増え続けている。これらは、データと統計に基づく危機の指標だ。予測は困難だが、間違いなく深刻なのは、我々の国土に広がる自信の喪失や、米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖だ」と、直面しているアメリカの危機に関して厳しい認識を示しました。
 その上で、「今日、私はあなた方に告げる。我々が直面している試練は本物だ。試練は深刻で数多い。試練は容易に、または、短い時間で対処できるものではない。しかし、米国よ、わかってほしい。これらの試練は対処されるだろう。この日、我々は、恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目標の共有を選んだため、ここに集った。この日、我々は、我々の政治をあまりにも長い間阻害してきた、ささいな不満や偽りの約束、非難や言い古された定説を終わらせることを宣言する」と語りかけました。
参考写真 選挙演説の時の「Yes, We Can !」のような国民を煽ることばは見あたらりませんが、自信に満ちた語り口は、演説全体でアメリカ国民に「アメリカの改革」を呼びかける内容となっていました。
 就任演説なので具体的な経済対策などには触れませんでしたが、「米国経済は、大胆かつ迅速な行動を求めている。そして我々は新規の雇用創出のみならず、新たな成長の礎を整えることができる。道路や橋を造り、電線やデジタル通信網を敷き、商業を支え、我々を一つに結び付ける。科学を本来あるべき地位に戻し、医療の質を引き上げながら、そのコストは減らす。太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かす。新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていく。我々はすべてのことを成し遂げられるし、行っていく」と、その方向性を示しました。
参考写真 結びには 「将来の世界に語らせよう。厳寒のなか、希望と美徳だけしか生き残れないとき、共通の危機にさらされて都市や国が立ち上がったと」との“建国の父”の言葉を引用し、「アメリカよ。共通の危機に直面したこの苦難の冬の中で、時代を超えたこの言葉を思い出そう。希望と美徳をもって、いてついた流れに再び立ち向かい、どんな嵐が来ようと耐えよう。私たちの子供たちのまた子供たちに、私たちは試練のときに、この旅が終わってしまうことを許さなかった、と語られるようにしよう。私たちは後戻りも、たじろぎもしなかったと語られるようにしよう。そして、地平線と神の恵みをしっかり見据えて、自由という偉大な贈り物を受け継ぎ、未来の世代にそれを確実に引き継いだ、と語られるようにしよう」と、全国民に呼びかけました。
 就任式会場や引き続き行われるパレードルートには、史上最多の約200万人とも言われる観衆が集まり、アメリカは新たな船出に祝賀ムード一色に染まりました。
 日本経済にとっても、オバマ新政権の経済運営は最大の関心事となります。就任演説の中で、オバマ大統領は経済危機について触れ、「今回の危機は、監視がなければ、市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた」と、無秩序な市場中心主義への決別を宣言しました。一国も早くアメリカの実態経済が立ち直ることを期待したいと思います。
(大統領就任式のオバマ大統領演説の和訳は、読売新聞と朝日新聞(いずれも1月21日付)のWEB版を引用させていただきました。写真はテレビ中継からのキャプチャー写真です)