最高額の北海道と最低の長野県では2万円以上の差が
090216map 日本の医療を支える健康保険制度は大別して4種類あります。大企業が組合を作って運営している「健康保険組合」(社会保険)、中小胃企業の従業員が加入している「政府管掌健康保険」(政管健保)、自営業者やその他の人が加入する国民健康保険(国保)、75歳以上の方が加入している後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の4つです。
 その内、国(社会保険庁)が運営していた「政府管掌健康保険」は、平成20年10月1日、新たに「全国健康保険協会」が設立され、協会が運営することとなりました。
 この協会は「協会けんぽ」と呼ばれ、非公務員型の法人となります。職員も民間人となり民間並のサービスの向上をめざすことになっています。また、都道府県ごとに支部を設け、地域密着型の運営をめざします。
 この協会けんぽの加入者は約3600万人。大企業の従業員が加入する健康保険組合は約3000万人、国民健康保険が約4800万人の加入者といわれています。
 これまでの政管健保は、全国で同じ保険料を加入者が支払っていました。しかし、「協会けんぽ」は都道府県ごとに保険料を設定することになっています。
 「協会けんぽ」を運営する「全国健康保険協会」によると、現在の保険料率8.2%は、最も高い北海道で8.75%に、最も低い長野では7.68%と1.17%もの差が出ることになります。
 この差は、北海道では年収400万円で年間1万1000円の負担増、長野県では1万400円の負担減となる見込みです。
 ちなみに茨城県の保険料率の見込みは7.96%で全国では9番目の低さになります。
 こうした都道府県別保険料設定の狙いは、高齢化や医療技術の進歩により否応なしに増大する医療費を、各地域ごとの努力によりその伸びを圧縮させようとすることです。長野県は、医療費自体も全国最低レベルで、その取り組みは各都道府県がモデルケースとしています。
5年間程度の激変緩和策を導入
 今年10月から、この都道府県別の保険料率をそのまま実施すると、年間で2万円もの保険料格差がでることになりますが、国は5年間程度の激変緩和策を導入することで検討を進めています。
 4月までに国会の議論を経て具体的な保険料率を決めることになっていますが、未だ具体的な議論は始まっていません。こうした大きな改革については、国民にオープンな議論が是非とも必要です。
参考写真