県北生涯学習の指定管理者「NPOインパクト」に高い評価
 2月25日、3月定例県議会にあたり「平成20年度包括外部監査報告者」が提出され、生涯学習センターでは県内で初めてNPO法人が指定管理者に選任されている「県北生涯学習センター」に対して、きわめて高い評価が示されました。(全国的に見てもNPO法人が指定されている事例は希だと思われます)
 包括外部監査制度は、県の様々な事業について公認会計士や税理士などの専門家で、かつ、県に直接の利害関係がない第三者に包括的な監査を委託し、事業の適正さやそのあり方などについて提言を求める制度です。
 今年度は池谷達郎氏を包括外部監査人に選び、「指定管理者制度の運用状況」をテーマに監査が実施されました。
 指定管理者制度とは、これまで自治体が直接行ってきた公の施設の施設管理を、多様化する住民のニーズに対応するためや、より効率的で効果的に行うために、民間のノウハウを活用するために導入された制度です。この制度により、公の施設の管理運営を民間事業者(営利企業や、非営利団体、NPOなど)を含めた幅広い団体に委ねることができるようになりました。
参考写真 生涯学習センターは、地域の生涯学習の拠点として県内に5箇所整備(水戸、県南、県西、鹿行、県北)されています。いずれも、指定管理者制度で運営されていますが、水戸、県南、県西、鹿行の4箇所は県の外郭団体である財団法人茨城県教育財団が指定管理者となり、県北のみがNPO法人インパクトが指定管理者となっています。
 この両者の指定管理者の特徴が、事業の推進にどのような違いをもたらしているか、包括外部監査では明快のその特徴を示しました。その監査報告を引用すると「端的の結論付ければ、当センター(県北生涯学習センター)は様々な企画、工夫によりそのパフォーマンスを高めているように見えた。つまり経営者感覚的なダイナミズムを感じることができた。(中略)つまり民間企業の経営者が日々培われた経営知識やノウハウを当センター事業にも取り入れ成果を創出していることがわかる」と記載されています。さらに、インパクトが作成した「管理物品の確認手続きに関する手引き」の作成については、管理者の姿勢が顕著に表れ、他の施設も参考に取り入れるべきであると指摘しました。
 また、県北生涯学習センターのボランティア活用による経済効果にも論及し、年間360万円もの人件費策円効果があると試算しています。もちろん、県北生涯学習センターのボランティアの活性化は、人件費の削減が主な目的ではありませんが、ボランティアによって事業の充実、人材の育成、経費の削減などすべての面で、ウィン・ウィンの関係が形成できていることがうかがえます。
 民間のNPOを指定管理者として迎えることには、様々な議論があったことも事実です。NPO法人インパクトが指定管理を始めて3年目にあたり、こうした外部監査人の評価を受けたことは、管理者にとっても励みになり、県にとても今後の指定管理者の方向付けを検討する大きな指針となると思われます。
 外部監査人は、インパクトに対して具体的な事務処理の問題点も指摘し、まだまだ、経験不足のところもあると評価いしています。こうした課題も克服しながら、県北生涯学習センターの円滑な運営に取り組んでいただきたいと期待いたします。
(写真上:県北生涯学習センターの外見、写真下:開所時のスッタフの皆さん[2006/8/11])
平成20年度包括外部監査報告書より、「県北生涯学習センター」に係わる主な監査報告の抜粋
第5.経済性・効率性の検証

1.経費の縮減
「監査対象施設に対する県の負担額(コスト)推移」によれば、全般的に3%シーリングの効果もあり、県の予算削減の効果はあったということができる。この意味では、指定管理者導入の効果の一つは達成したと言える。
(1)人件費
 人件費は、全般的に削減されているとは言え、県職員の派遣や外郭団体への天下り者が当該施設の管理に従事している例が多く、また、県職員派遣の場合は県の給与体系によっており、指定管理者制度による民間活力導入の面で問題がある。
 (財)茨城県教育財団については、茨城県出資団体等経営改善専門委員会の平成19年度審議対象団体となり、平成19年12月に当委員会から「出資団体の経営改善等に関する意見書」が提出された。この中で、県職員派遣の早急な見直しと併せ、指定管理者としての適正な財団運営についての指摘があったことを受け、県派遣職員の人件費分については19年度から指定管理料を精算することとなったため、年度末でその額が減額されている。
 また、施設によっては、部課統合により、人員そのものを減らしているところもある(水戸生涯学習センター)。
 人件費を削減することも重要であるが、問題はサービスが低下してしまっては本末転倒であるという点である。要はこの兼ね合いが大切である。
 ただし、同様の施設(生涯学習センター)でありながら、教育財団が受託した他の生涯学習センターとNPO法人インパクトが受託した県北生涯学習センターでは、そもそも人件費の負担額が大幅に異なっている。この状況の違いは、施設の形態や規模、性格の違いなど考慮しなければならない点もあるが、他のセンターは県職員等が中心であり、一人当たり人件費が高額であることが原因である。 
 これで、県北生涯学習センターのサービスが悪いのであれば、致し方ないのであるが、同センターは18年度途中開所であるものの、この点を割り引いても順調に利用者を増加させている。これは民間でも十分に指定管理者による管理が行えることの証拠でもあり、人材の有効活用という点からも特筆すべきものである(各生涯学習センターの収支比較表参照)。
 また、施設によっては、ボランティアを育成し、活用している例が見受けられる。監査対象施設の一例をあげれば次のとおりである。(第8監査対象施設の概要と監査結果報告参照)
<ボランティア活用による経済効果の試算額>
あすなろの郷 約576万円
県北生涯学習センター 約360万円
鹿行生涯学習センター 約316万円
水戸生涯学習センター 約403万円
例示として生涯学習センター等をあげたが、それ以外の施設でもボランティアを活用できる施設は積極的な活用が望まれる。
参考写真
(注)平成19年度決算数値は科目ごとに四捨五入しているため、合計は一致しない。また、金額の僅少な科目は合計して表示している
(注)施設の規模の違い:県南生涯学習センターはウララビルにあり区分所有、県北生涯学習センターは日立市十王庁舎の一部借用、その他は単独施設である管理する土地を所有している
(注)性格の違い:水戸生涯学習センターは中心施設として企画部門があり、情報発信のための県全体の生涯学習情報提供システムの管理や生涯学習調査研究・プログラムの開発などを行っている。鹿行生涯学習センターは、女性プラザを併設しており、男女共同参画事業や宿泊機能を有している。

8.指定管理者制度に移行したことによる効果(予算削減・満足度調査アンケート・サービスの向上)
(1)民間経営改善手法の導入効果
指定管理料は、毎年次のように減額されている。
18年度:85,724,000円
19年度:78,206,000円
20年度:75,413,000円
センター内には業務改善グループが設置されている。ここにはNPOインパクトの役員等関係者である企業経営者が配属されている。いわゆる民間の経常改善手法等を当センターの運営等に積極的に活用していることは他の生涯学習センターにはないため民間活力のよいケースとして特筆すべき点であろう。

(2)ボランティア活性化による経済効果
 同様に当センターの特徴としてセンターサポーターの活躍がある。ふれあいサポートセンター構想に基づいた活動であり、まちづくりを担う人材の育成が目的とされている。
 このサポーターの活動は結果的に、人件費の圧縮につながっている。
 例えば、平成20年8月分のサポーターに対する個人別支払額をみると、
サポーター:56名、総支給額:81,000円
3時間未満の活動:500円、3時間以上の活動:1,000円
SL000÷500円=162162×3時間=486時間
186時間×h一般的な時給800円=388,800円
388,800−81,000=307,800円

 この計算から月30万円強の経済効果をもたらしていることがわかる。単純計算すれば年間で360万円ほどの人件費圧縮効果がある。
 職員数については次のように削減している。仕事が少ない嘱託や職能不足のパートを整埋している。年々慣れることで習熟度が高まれば業務パフォーマンスは高まるため人員数が減っても業務遂行には問題がない、との考えに基づいた施策であり実際、問題は生じていない。
18年度:22人19年度:21人20年度:20人

9.その他
(1)教育財団受託施設との違い
〔唄岾萠呂慮果
 他の生涯学習センターが財団法人茨城県教育財団が指定管理者となっているのに対し、当センターはNPO法人インパクトが指定管理者であり、両者の特徴が事業遂行にどのような違いをもたらすのかが興味の焦点である。端的に結論付ければ、当センターは様々な企画、工夫によりそのパフォーマンスを高めているように思えた。つまり経営者感覚的なダイナミズムを感じることができた。これにはNPO法人インパクトが企業経営者を中心とする会員組織であることも大きく影響している。つまり民間企業の経営者が日々培われた経常知識やノウハウを当センター事業にも取り入れ成果を創出していることがわかる。業務改善グループの設置やご意見箱のフィードバック、CS向上委員会による利用者満足の向上に向けた活動が行われている成果であろう。
 またボランティアの積極的な登用により地域人材の育成や活性化が図れ、同時に人件費の削減にもつながっている。経費の削減などに経営努力が見られ、その結果年々減少する委託料にも対応ができている。
 「管理物品の確認手続き(実査)に関する手引き」の作成などにも管理者の姿勢が顕著に表れている。当センターで行われて成果を挙げている取り組みは、他の施設も参考にし取り入れるべきであろう。
∋務処理の習熟度不足
 財団法人茨城県教育財にある経理規程や諸規則による的確な実務処理に比較すると、経験はだ習熟度が高まっていないのが事実である。帳簿や備品一覧表の記載に誤りが見られた。