参考写真 茨城県では2年間続いた県職員の給与カット(職員の給与の減額措置)が、平成21年度当初予算の中で中止されることになっています。
 大変厳しい財政運営が強いられている県は、平成19年度、20年度の2年間、一般職員を対象として給与カットが実施され、各年度約100億円を捻出し、財政運営上大きな効果がありました。
 平成19年度の予算編成に当たり、橋本知事は、県職員組合側に平成19年度から平成21年度までの3年間のカットを提案し、交渉の結果、「3年目となる平成21年度の取扱いについては、再度協議する」ということで組合側と決着した経緯があります。これは、3年間の給与カットを前提に、21年度予算編成の検討時点で、もう一度給与カットの必要性を検証し、その是非を判断するということと、私ども県議会では認識していました。
 しかし、平成21年度の給与カットについては、組合側への提案それ自体が見送られ、最終的に管理職のカットだけが継続されることとなりました。その結果、一般職の給与カットを見送っために、職員給与の支出が85億円も増えることとなってしまいました。
 昨年9月のアメリカの金融危機に端を発した景気後退の中で、県財政をめぐる状況は破綻の危機さえ叫ばれています。平成18年当時と比べれば、むしろ、悪化していると見るのが正しいと思います。
 給与カットを継続するか否かという問題は、予算編成の全体像を左右する極めて大きな問題です。
 知事は1月7日の記者会見で、幹事社の「一般職員の方の給与の減額分を戻すというお話ですが、財政危機もまだ尾を引きそうな感じで、民間の方もこういう形でかなり冷え込んでおりますが、割と最悪のタイミングで戻すことになろうかと思うのですが、それについて改めて今現在のお考えを聞きたい」との質問に対して、「地方公務員の給与の問題については、民間との比較について人事委員会が十分に調査を行った上で勧告をされております。そのために、労働基本権についても、公務員は一定の制約がなされているという状況にあるわけでございます。人事委員会からは、今年は本来の形に戻す(減額措置を解除する)ようにという強い勧告を受けたところでありまして、これまで、職員の皆さんには、人事委員会の勧告という制度がある中ではありますが、財政状況が大変厳しいということで無理をお願いしてきたところでありますので、今回、特に人事委員会から強い勧告があったことなどを踏まえまして、一般職については戻すことにしたところであります」と答えました。
 
 人事委員会の勧告をそのまま実行するだけならば、知事の存在価値はありません。県民生活が危機に瀕し、公務員と民間の給与や待遇の格差が問題視される中での、給与カットの中止はどうしても納得がいきません。
 こうした知事の判断によって、県内の市町村からも県が給与カットを見送ったため、給与の減額ができなくなったと言う声が聞こえています。また、「次期の知事選挙がらみで特定団体の支援を受けるた桝こ給与カットを見送ったのではないか」と憶測する者も出ていると、自民党の代表質問では指摘されました。

参考写真
統計元:「特別職の職員の給与に関する法律」、人事院「平成19年国家公務員給与等の実態調査の結果」、総務省「平成18年地方公務員給与の実態」、独立行政法人:総務省「独立行政法人の役職員の給与等の水準(概要)」、総務省「期末・勤勉手当 昭和40年以降の支給月数の変化」、国税庁「平成18年 民間給与実態統計調査」
平成18年度の公務員の平均年収及び民間との比較を掲載しました。
国家公務員の平均収入は662.7万円で昨年度の659.1万円に比べ、0.55%の上昇。地方公務員は728.8万円で昨年度の728.5万円に比べ、0.04%の上昇。独立行政法人(※注)は732.6万円で昨年度の729.4万円に比べ0.44%の上昇となりました。
一方、上場企業は589.3万円で昨年度の584.2万円に比べ、0.87%の上昇。民間の平均年収は434.9万円で昨年度の436.8万円に比べ、0.46%の減少となりました。
公務員及び上場企業は昨年比で上昇、民間平均は昨年比で減少という結果になりました。
参考:年収ラボ