3月2日、日立製作所日立総合病院の岡裕爾院長は、早産や異常出産などハイリスクの出産を扱う「地域周産期母子医療センター」の機能を4月より、当分の間休止すると発表しました。同時に、県北地域の小児救急診療体制について、新生児科医師の移動により日製病院での対応ができなくなったことと北茨城市立病院での時間外診療、入院診療を中止することを公表しました。
NICUのイメージ 日製日立総合病院では、昨年8月、今年4月以降の産科医師確保ができないため、分娩予約の中止を発表しました。病院当局、日立市、茨城県は医師確保に全力あげてをきましたが、結果的に確保できたのは1名のみ。産科医師が一人もいなくなるという最悪の事態は回避できましたが、年間1200例を超える出産を扱っていた病院が、4月以降も引き続き分娩予約受付を停止せざるを得ない状況となりました。今後、産科医の確保の努力を継続的に行い、院内助産所の立ち上げを急ぎ、速やかに正常分娩の受け入れを再開するとしています。
 また、ハイリスク出産への対応は困難と判断し、新生児集中治療(NICU)を4月から当分の間、休止することになりました。日製日立病院は、周産期母子医療センター(地域)の機能を有し、平成18年56例、19年71例の母体搬送を受け入れて来ました。この機能が中止されることで、この役目は水戸地区などの周産期センターが引き受けるとしています。
 また、近隣の他病院からの緊急のハイリスク患者については、日製日立病院の医療施設を開放(オープン病院化)し、患者の主治医が緊急手術などを行えるようにします。その際、同病院の小児科医が新生児集中治療を担当することにしました。
 また、小児救急に関して、日製日立病院に在籍する新生児科の医師3人が派遣元の筑波大の意向で、5月末までに県央・県南地区の周産期センターに異動することが決定しました。新生児救急医療も担うことになった小児科医の負担増大が懸念されるため、日製日立病院では小児科救急について「日中診療時間内の受診などをお願いしたい」と患者や家族に理解を求めるとともに、現在、北茨城市立総合病院の小児科医師2名を日製日立病院に集約することを決定しました。(北茨城市立総合病院の日中の外来診療機能はできるだけ維持する方針です)
 今後、県及び日立市にあっては、日製病院への院内助産所の中核となる医師の確保に努めるとともに、県北地域のハイリスク分娩を担う水戸市の県立こども病院の機能強化、受け入れ体制が緊急の課題です。
【参考】茨城県内の新生児集中治療体制について
 低出生体重児(いわゆる未熟児)などについては、NICU(新生児集中治療管理室)で治療が行われます。
 新生児の状態が安定してくると、その後方病床であるGCUに移し、治療が続けられます。GCUで経過をみながら退院へ、または小児病棟などに移ることになります。
医療圏病院名NICUGCU備考
県央県北水戸済生会
県立こども病院
1224H21年度GCUを
27に増床
水戸赤十字病院 
日製日立病院144月より休止
県南土浦協同病院25 
取手協同病院 
つくば・県西筑波大付属病院 
西南医療センター 
合計5469