3月の定例県議会では、公明党を代表して足立寛作県議が質問に立ちました。足立県議は、昨年開催された国民文化祭を総括して、県の文化振興策について質しました。
 ある意味で「不況下こそ文化振興のチャンスである」と、公明党では考えています。世界大恐慌の真っ直中、米国のルーズベルト大統領の行ったニューディール政策は有名です。ニューディール政策といえば、テネシー川の総合開発などの巨大土木事業ですが、実は、大がかりな文化芸術の振興策が同時に行われてのです。それは、「フェデラル・ワン」と呼ばれている政策です。多くの芸術家を直接雇用して多岐にわたる文化振興を展開した結果、後世に名を残す劇作家や俳優、芸術家を生み出すなど、大きな成功を収めました。
 具体的には、1.美術、2.音楽、3.演劇、4.作家、5.歴史的記録調査の各プロジェクトが行われ、1936年の最盛期には、実に4万人に上る芸術家が雇用されました。
 美術プロジェクトでは、5300人の美術家らを雇用。1万点を超える絵画と1万8000点の彫刻が制作され、学校や病院などに飾られました。2500カ所の公共建築物に壁画が制作されました。各地ではアートセンターやギャラリーも多数誕生しました。
 音楽プロジェクトでは、音楽家らが1万6000人雇用され、毎週5000回もの講演が行われて、聴衆はおよそ300万人に上ったといわれています。さらに5500曲もの新たな楽曲が創作されました。
 演劇プロジェクトでは、1万3000人の演劇関係者が雇用され、4年間で新作1200本が、発表されました。毎月1000回を超えるプログラムが公演され、そのうち約80%が無料公演だったと言うことです。
 こうした文化芸術の振興によって、第2次世界大戦後には芸術の中心がフランスのパリからアメリカへと移り、ブロードウエーミュージカルやハリウッド映画といった今日の米国の文化芸術産業の繁栄をもたらしました。その礎を築いたのが実は、大不況期だったのです。
参考写真 こうした点を踏まえて公明党では、2007年11月6日に、塩谷立文部科学相に対して、「今こそ、文化学術に力を入れるべき」と文化芸術振興に関する申し入れを、太田代表や池坊保子衆議院議員が行っています。同じく11月19日の衆院文科委員会では、池坊議員が「日本版ニューディール政策」の実施を訴えています。
 公明党はこれまで、2001年の文化芸術振興基本法実現をはじめ、文化芸術の振興に一貫して取り組んできました。劇作家の山崎正和氏からも「とかく文化をおろそかにしてきた日本の過去に対する精算であると同時に、21世紀を豊かに切り開いていくためのカギとなるも。この二つの意味で歴史的だ」との高い評価を頂いています。
 文化芸術の振興は、不況克服の大きなキーワードだと確信しています。
文科相に対し振興予算拡充など要望
公明新聞(2008/11/6)
 公明党の太田昭宏代表と党文部科学部会(池坊保子部会長=衆院議員)は6日、文部科学省を訪ね、塩谷立文科相に対し、文化芸術の振興に関する申し入れを行った。
 池坊部会長、古屋範子、高木美智代の両衆院議員、山下栄一、荒木清寛の両参院議員が同席した。
 席上、太田代表は1929年の世界恐慌を克服するための米国ニューディール政策で文化芸術政策を柱の一つに位置付け、今日のハリウッド映画やブロードウェーミュージカルなど米国の文化芸術産業の発展をもたらしたことに触れ、「世界的経済不安の時にこそ、文化芸術に力を入れるべき」と力説。文化芸術への投資が経済活動の新たな需要や雇用創出など「景気対策にも寄与する」と指摘し、(1)文化・芸術振興予算の拡充(2)国宝重要文化財の耐震化(3)子ども文化芸術体験活動の支援強化――などを要望した。
 また、太田代表は文化芸術振興基本法の成立など公明党の一貫した取り組みを紹介するとともに、凶悪事件など社会不安が深刻化する現状打開のためにも、政府がこれまで以上に文化振興策に取り組むよう求めた。
 塩谷文科相は「(指摘は)重要なことであり、しっかりと頑張りたい。(公明党の)皆さまの支援をお願いしたい」と答えた。