3月17日開かれた県議会予算特別委員会で、橋本昌県知事は、4月から産科を休診する日立製作所日立総合病院(日製日立病院)に、水戸赤十字病院が今秋以降、産科医1人を派遣する意向があることを明らかにしました。
参考写真 日製日立病院は、茨城県の県北地域の拠点病院で、地域周産期医療センターの機能を担い、平成19年までは年間1200件程度の出産を取り扱っていました。しかし、昨年8月、常勤医6名全員がこの4月に東京の大学病院に引き上げられることになり、分娩予約を休止していました。
 病院当局や地元行政に強い働きかけにより、その内1名の常勤医の残留が正式に決まり、産科閉鎖との最悪の事態は免れましたが、院内助産所の開設を目指して、最低でももう一名の産科医獲得が緊近の課題となっていました。
 今回、日赤水戸病院から、医師派遣が実現すれば、日立総合病院の産科医は2人体制となり、半年後の産科再開に希望が出てききました。県と日立市は、来年度予算に院内助産所開設のための補助金を計上しており、県北地域の分娩を担える体制づくりに大きなプラスとなります。
『正常分娩再開に前進』 水戸赤十字病院 秋以降に産科医派遣
東京新聞(2009年3月19日)
 日立市の日立製作所日立総合病院が常勤産科医の引き揚げに伴い、四月以降、出産から新生児医療までを担う周産期センターを休止する問題で、県の要請を受けた水戸赤十字病院(水戸市)が秋以降、日立総合病院に産科医一人を派遣する方針を固めた。県医療対策課は「正常分娩(ぶんべん)の再開に向けては大きな前進」と受け止めている。
 日立総合病院周産期センターは正常分娩から危険な分娩まで千二百十二件(二〇〇七年)を扱ってきた実績があるが、派遣元の東京大医学部が常勤産科医四人のうち三人を三月末で引き揚げるため、四月から当面、正常分娩を含む一切の分娩休止を決めている。
 このため、県北地域の産科拠点が一時的に失われるが、秋以降は水戸赤十字病院から常勤医か、非常勤医が毎日派遣される方向で、常時、産科医二人体制が整う見通しとなった。
 周産期センターの再開は難しいが、ほかにも協力の意思を示している非常勤医四、五人の参加や、院内助産所の開設などにより、秋以降の正常分娩再開を目指す。