県3公社支援 経営抜本見直しを
茨城新聞(2009/03/20)
県議会、異例の決議
県議会は2009年第一回定例会最終日の19日、県開発公社など巨額赤字を抱えた三公社に対する県の経営支援をめぐり、健全な財政運営を求める決議を自民、民主、公明、自民県政クラブの四会派の賛成多数で可決した。県は09年度、三公社に計73億円の補助金投入を計上するが、県議会は「昨今の経済状況の影響でさらなる追加支援が懸念される」とし、経営責任の明確化と県財政依存体質からの早期脱却を強く求めた。当初予算案の採決に当たって、県議会がこうした決議で意思を明確に表明するのは初めて。
公社をめぐっては国の制度変更で、2年連続して債務超過状態が続くと存続できなくなり、支援が欠かせなくなった。
開発公社は、保有土地を時価で評価する低価法の導入に伴い、09年度から債務超過に陥る見通しとなり、県は今後10年間で計
211億円を投じて保有土地の買い取りや経営支援を決定した。09年度当初予算には、補助金17億円と債務超過を回避するための一時的な無利子貸付金119億円を計上した。
既に住宅供給公社と土地開発公社は減損会計の導入で債務超過に陥り、県は06年度から二公社に毎年50億円規模を投入して下支えしている。開発公社支援が加わり、投入額は毎年約80億円に達する見通しだ。
三公社が保有する未分譲地は昨年3月末時点で計約520ヘクタール。今後も地価の下落が続けば、低価法の適用により、県の追加支援が求められる可能性も高いとみられる。
異例の決議は自民、民主、公明、自民県政クラブの議員九人が提案。「三公社への措置は総額800億円の巨費に上ることが想定される。財政健全化への道筋を危うくするばかりでなく、県民の行政不信を増幅する」と懸念を示した上で、「三公社に関する経営責任を明確化し、あらゆる手段を講じて経営改善に取り組み、早期に一般財源依存体質からの脱却を図るよう強く求める」としている。
採決では共産が棄権した。
3月19日、茨城県議会3月定例会は最終日を迎え、平成21年度県予算など上程された議案85件を原案通り、可決承認しました。
公明・自民・民主・自民県政クラブの4会派は、県の深刻な財政状況を鑑み、県開発公社、県住宅供給公社、県土地公社などに関する経営責任の明確化と損失の早期処分、経営の改善・清算を求める「一般会計予算に関し健全な財政運営を求める決議案」を共同提案し、賛成多数で可決しました。
同時に、県出資団体等調査特別委員会を設置し、県が出資する県連団体の経営改善を目指し、集中的に議論を進めることになりました。公営企業法を全部適用し、経営再建に取り組んでいる県立3病院に関しても、引き続き県立病院として維持していくか、民間への移行を前提に抜本的な改革を行うかの見極めも、この特別委員会で検討される見込みです。
この日採決された決議では、新年度予算から経営支援する開発公社、06年度から支援している住宅供給公社、土地開発公社の3公社に総額800億円の巨費を投じることになった「経営責任を明確化する」ことを求めています。同時に、経営改善に取り組み、県の一般財源への依存体質からの脱却を強く訴えています。
開発公社への経営支援に対する責任問題を巡っては、橋本知事が減給50%(3か月)、副知事2人が同30%(3か月)とする条例改正案も可決されていますが、その巨額な県財政への負担に対して、責任の取り方として不十分ではないかとの声が、議会内部にはあります。さらに、今秋の知事選で、既に自民党は新人候補の擁立を決めており、現橋本知事の責任を追及する意見があります。
しかし、県政の責任を知事と共に負うことが求められる県議会の責任については、あまり議論がなされていない現実もあります。橋本知事を支え、過大な工業団地や住宅団地の開発に、ゴーサインを出したのは紛れもなく、県議会の責任です。
財政再建問題を単なる政局や選挙の道具にするのではなく、県民の負担をより軽くする方向での議論が何より重要です。
本県財政は今、未曾有の危機的状況に参り、財政健全化への取り組みは一刻の猶予も許されない喫緊の課題である。
また、県出資団体は、社会経済情勢が大きく変化する中で、厳しい経営環境に置かれ、技本的な見直しが求められている。
そのような中、平成21年度当初予算においては、県開発公社に対する経営支援として136億円を計上し、今後10年間に総額211億円もの巨費を投じようとしている。また、すでにこれまでも平成18年度から県住宅供給公社及び県土地開発公社に対する経営支援を実施しており、これら三公社への措置は、総額800億円の巨額にのぼることが想定されている。
また、今回、平成21年度当初予算の中で、一般財源により措置される73億円は、一般行政費中の政策的経費全体と比較するとその約17%にも相当し、さらに、ここ数年間続けできた県債管理基金からの繰り替え運用も早
期に解消しなければならない。
このままでは財政健全化への道筋を危うくするばかりでなく、県民の行政不信を増幅することが危慎される。そしてまた、昨今の経済状況の影響を受け、保有土地の地価下落傾向が進むことなどによって、更なる追加支援を求められることも懸念されるところである。
よって本県議会は、平成21年度茨城県一般会計予算を採決するに当たり、これら三公社に係る経営責任を明確化するとともに、あらゆる手段を講じて経営改善に取り組み、早期に一般財源依存体質からの脱却を図るよう強く求めるものである。
さらに、議会に対する説明責任を十分に認識し、なお一層簡素・効率的な財政運営に努めるようあわせて求めるものである。
以上、決議する。
平成21年3月19日
茨城県議会