3月31日、平成20年度の締めの一日。この1年は、日本の経済史の中でも特筆される一年になっると思われます。燃料高、物価高など投機目的の経済が絶頂期を迎え、その頂点で起こった金融危機。日本経済は、その大波に翻弄され、国民生活の不安感が極限まで高まっています。
参考写真 こうした社会・経済状況の中で政治がその責任を果たし切れたか否か、パソコンに向かいながら自らを振り返っています。特に、この一年の国政は、野党民主党の政局優先、選挙優先の国会運営に翻弄されたと言っても過言ではありません。
 一年前の今日は、ガソリンの暫定税率の失効を前に、市内のガソリンスタンドを一日中かけてまわった記憶があります。どのスタンドでも、展望が開けない国会運営に深い怒りを露わにしていました。定額給付金に関しても同じようなことがいえます。国会で徹底的に反対した民主党ですが、茨城県議会を始め県内市町村では、民主党の地方議員は定額給付金の含む条例にこぞって賛成しました。支給が始まると、全国から報道される喜びの声に、民主党は何の反応も示していません。
 そして一年間の総決算、年度末に発覚した小沢代表の西松建設献金問題。民主党は、この一年、日本の政治のために、日本国民のために、いったい何をやったのでしょうか?どんな実績を積んだのでしょうか?
 たしかに、このような民主党に翻弄された政府与党もそのリーダーシップの貧弱さを反省する必要があります。信念を持って、確信を持って、この国の行き先を示していかなくてはならないと思います。
09年度予算・税制法成立
 このような情勢の中で、平成21年度の予算と税制改正関連法が年度内に成立しました。
 世界的な金融危機に伴い、戦後最悪の水準にまで落ち込んだ日本経済を立て直す上で、予算、税制は“生命線”です。特に、21年度予算と税制改正には、生活、雇用、中小企業対策など、喫緊に対処すべき課題への具体策が豊富に盛り込まれているだけに、年度内に成立した意義は大きいと思います。できるだけ早期の予算執行が望まれます。
 21年度予算は、一般会計が前年度当初比で5兆4867億円増の88兆5480億円、政策経費に充てられる一般歳出も同4兆4465億円増の51兆7310億円と、ともに過去最大です。厳しい財政事情の中、ムダ削減を徹底し、景気浮揚へ大胆な編成を行いました。
 (1)非正規労働者の雇用保険適用の拡大(2)雇用調整助成金による中小企業などの雇用維持(3)地域活性化に向けた地方交付税の1兆円増額――など、急激な景気悪化に対応した安全網強化や地域経済を守る施策が手厚く盛り込まれました。
 環境対策と経済成長の両立へ家庭用太陽光発電や燃料電池の普及を促すのも、新産業や雇用の創出を前進させるものです。
 一方、21年度税制改正は、1兆円規模の大型減税で内需拡大や中小企業支援を強力に進めるのが柱となっています。中でも、過去最大規模への住宅ローン減税の拡充や、エコカー減税は、経済への波及効果が高く、低迷した内需を下支えするとの期待されています。また、中小企業の法人税減税や事業承継の円滑化などは、景気悪化にあえぐ中小企業経営者を大いに勇気づけています。特に、事業継承税制は、中小企業のオーナー社長にとって長年の懸案であり、地元を挨拶回りをしていても、「公明党よよくやってくれた」と、ご評価をいただいています。
 政府・与党は、20年度第1、2次補正予算と21年度予算・税制改正を“3段ロケット”と位置付け、総額75兆円規模の景気対策の実施を急いできたが、これですべての施策が具体的に動き出すことになりました。
 マスコミ報道などでは、2兆円規模の定額給付金だけが注目されがちだですが、これはあくまで対策の一部にすぎません。全体を見れば、景気悪化の影響が及ぶあらゆる分野に目配りし、切れ目なく対策を講じていることを理解していただけると思います。
 まさに、今は「経済有事」とも言える緊急事態です。景気悪化の勢いは、依然衰える兆しが見えず、ここで気を緩めれば、瞬く間に景気は底割れしかねません。すでに、給与の遅配や資金繰りのショートを訴える相談が複数寄せられています。
 こうした中、麻生太郎首相は3月13日、与党に対し経済有事に対応すべき新たな経済対策の検討を指示しました。
 これを受け、公明党は「新・経済対策検討本部」で精力的に議論を重ね、今日にも中間報告を取りまとめるられる予定です。
参考写真 地方議員の立場からいわせていただくと、雇用の安全網をいっそう充実させてもらいたいと思います。従業員が知らないうちに雇用保険が積まれていなかった事例なども発生しています。また、失業した従業員の子弟の就学を守るための緊急奨学金制度などの創設を望みます。特に、私学に通う子供たちが学ぶことを断念せざるを得ない状況があります。
 中小企業対策においては、借り換えや融資の条件変更に柔軟に対応できる仕組みを作るべきです。製造業の現場では、未だに生産量自体は増加に転じていません。景気が底を打つまでの緊急対策を不可欠です。政府系金融機関でも、借り換えなどを行うと保証人を求められる場合が多いようです。特に第三者保証を求めることは、借り手にとって死活問題です。こうした現場の声を重視した政策を実施していただきたいと思います。
 さらに、医療や介護などに重点的な投資を行ってほしいと思います。特に、医師確保や介護の人材確保に直結する施策実施を望みます。
 いよいよ春本番、桜も満開を迎えようとしています。この春風に乗って、日本経済の立て直しに全力を上げていきたいと思います。