4月10日、政府が取りまとめた総額15兆円を超える「新しい経済対策」について、公明党政調会長代理石井啓一衆議院議員(党茨城県本部代表)が語っています。

Q:「新しい経済対策」の柱は。
A:今回の対策は、国の費用で15兆4000億円、事業費では56兆8000億円という過去最大規模の対策です。現在、政府与党は75兆円の景気対策を行っていますが、現下の不況を克服するため、新たな対策を講じることになりました。今回の対策の柱は、(1)雇用対策をもう一段拡充する(2)国民の皆さんに安心していただく(3)将来に向けて活力を生み出していく(4)中小企業、地方への支援を行う――の四つです。
Q:雇用対策や中小企業対策については。
A:雇用対策では、雇用維持を支援する雇用調整助成金の予算を6000億円拡充し、使い勝手を良くします。また、失業者の中で失業手当を受けている人が2割程度であることから、失業手当を受けていない人を対象に、職業訓練と生活支援を併せて行う「訓練・生活支援給付(仮称)」制度を新設。失業手当に次ぐ第2のセーフティーネット(安全網)を構築しました。
 中小企業対策では、資金繰りの支援をさらに拡充します。緊急保証枠を10兆円、政府系金融機関によるセーフティネット貸付枠を3兆円それぞれ追加。さらに商工中金の貸付枠も2・4兆円追加しました。
Q:子育て支援や社会保障で、公明党の主張が盛り込まれた点は。
A:子育て支援では、小学校入学前3年間の子どもについて、第2子以降に年間3万6000円支給する子育て応援特別手当を既に実施していますが、今回の対策では、第1子から支給することになりました。今回限りの措置となります。
 また、女性特有の子宮頸がんや乳がんの対策を充実させました。子宮頸がんでは20歳から40歳、乳がんは40歳から60歳の間、それぞれ5歳刻みの年齢の該当者に健康手帳と無料の検診クーポンを提供し、がん検診の受診を推進します。
Q:景気対策で力を入れた点は。
A:今回の対策では、未来の成長につなげるため、太陽光発電やエコカー、省エネ家電への投資を行います。
 太陽光発電では、家庭に導入する際の補助金を大幅に拡充。また、余った電力を電力会社が買い取る制度について、買い取り単価を来年から2倍にするほか、公共施設への導入も進めていきます。
 一方、エコカーでは、車齢13年を超える車を廃棄し、新しい燃費基準の車に買い替えた場合、乗用車で25万円、軽自動車では12万5000円を補助する制度を新設。また、13年超の車を廃車しなくても、新しい燃費基準を15%上回る低燃費車を購入した場合、乗用車で10万円、軽自動車では5万円を助成します。
 省エネ家電については、エアコンや冷蔵庫、テレビを対象としたエコポイントをつくりました。エコポイントは省エネ商品の購入などに使えます。冷蔵庫やエアコンは5%、アナログテレビをリサイクルして地上波デジタル放送対応テレビに買い替えた場合は13%のポイントがつきます。
Q:対策に必要な財源は。
A:財源は財政投融資特別会計の積立金から約3兆円捻出するほか、経済緊急対応予備費1兆円を取り崩し、残りの約10兆円は国債発行します。ただ、国債の追加発行は将来も続けるわけではありません。将来、景気が回復した段階での税収増で十分取り戻すことができると考えています。
 今、政府は今回の対策を補正予算として取りまとめる作業を行い、4月27日をめどに国会に提出するため、大急ぎで作業を進めています。提出後は、野党の理解も得て、早く成立させたいと考えています。