欧州新車販売、ドイツが補助金効果で39.9%増…3月実績
Response(2009/4/17)
 ACEA(欧州自動車工業会)は4月16日、3月の欧州全域(EU+EFTA全28か国)の新車販売結果を公表した。総販売台数は150万6249台で、前年同月比は9%減。11か月連続の前年割れだが、1月の27%減、2月の18.3%減と比べると、かなり持ち直してきた。
 3月新車販売が回復した要因として、ディーラー稼働日が前年よりも平均して3日多かった点が挙げられる。しかし、それにも増して大きいのは、旧車から低公害車に代替する際に支給される補助金、「スクラップインセンティブ」の効果だ。
 欧州5大市場は、ドイツが驚異的な伸びを見せた。ドイツの3月販売台数は40万965台で、前年同月比は39.9%増。これは9年以上保有している古い車を、一定の基準を満たした低公害車に代替する際に、最大2500ユーロ(約33万円)を補助するスクラップインセンティブが1月にスタートした効果だ。1〜3月累計でも18%増の86万8090台と、ドイツでは新車が売れている。
 ドイツと同様の補助金制度を実施しているのが、フランスやイタリア。フランスは前年同月比8%増の20万4018台、イタリアは00.2%増の21万4218台と好調だ。一方、インセンティブのない英国は30.5%減の31万3912台、スペインは38.7%減の7万6503台と明暗が分かれた。<中略>
 欧州新車市場は、ドイツ、フランス、イタリアでスクラップインセンティブ効果により、需要が上向いてきた。他の国にも同様の制度が導入される可能性が高そうだ。

日本も新経済対策に13年超の旧型車乗り換えで25万円の補助金盛り込む
参考写真 日本でも政府与党は、新経済対策に「スクラップインセンティブ」を導入します。環境分野における新たな需要創出を目指し、その牽引役として期待されているのがハイブリット車やクリーンディーゼル車、そして電気自動車などのエコカーです。そのエコカーの普及を、補助金を導入して力強く推進します。
 具体的には13年を超えて乗った乗用車を廃車にして10年燃費基準達成車に買い替える場合、普通乗用車25万円、軽自動車12.5万円を補助します。廃車を伴わなくても、05年排出ガス基準より有害物質を75%以上低減させた排出ガス性能四つ星、かつ10年度燃費基準を15%以上、上回る普通乗用車に10万円、軽自動車に5万円を補助するという政策です。
 トラック・バスも対象になり、「車齢13年超」の大型車を廃車して新車に買い換えた場合は180万円が支給されます。トラック・バスは車両総重量によって「小型」(3.5tクラス)、「中型」(8tクラス)、「大型」(12tクラス)に分類。「車齢13年超」の車両をスクラップして購入する際、補助金はそれぞれ40万円、80万円、180万円となります。購入する新車は「新長期規制」への適合が条件です。
 一方、「13年」未満の車両を買い換える場合は、小型から順に20万円、40万円、90万円と、スクラップが伴うケースの半額となる。対象車両は「2015年燃費基準」を達成し、NOxまたはPMが現行基準より10%以上低減されていなければならないとされています。
 制度がスタートするまでの買い控えを防ぐため、政府が方針を発表した今年4月10日まで遡及して適用します。
 予算規模は3700億円。09年度税制改正によるエコカーへの自動車取得税・重量税の減免と合わせ、エコカーの普及が大きく進むと期待されています。需要増の見込みは、環境対応車への補助金によって、69万台程度、すでに今月から実施されているハイブリッド車など環境対応車への自動車取得税および自動車重量税の減免措置では、年31万台規模の上乗せ効果を見込んでいます。
 国内新車需要の活性化を狙った両施策合計で、100万台の需要創出となる計算です。また、雇用への波及効果は今回の補助金制度で9万人程度、減免税による効果も含むと約12万人と見込まれています。
 新経済対策の導入で、新型プリウスを13年超車から乗り換えるとすると、25万円のスクラップ補助金と約16万円の自動車取得税と自動車重量税が全額免除され、割引の額は41万円という高額になります。ガソリン代も約2分の1になることを考えれば、買い換え重要の大きな牽引力となります。