離職者の再就職支援、雇用保険に次ぐ“安全網”を確立へ
参考写真 険しい雇用情勢を踏まえ、職を失った離職者への“安全網”の拡充が急務となっています。
 現在、国会で審議中の2009年度補正予算案には、生活費の支給を受けながら安心して職業訓練が受けられ、取得した資格をもとに正社員への就職に再チャレンジできる「訓練・生活支援給付」の創設など、雇用保険に次ぐ“第2の安全網”が盛り込まれています。
 訓練・生活支援給付の創設は、公明党が麻生政権発足時の政権合意(08年9月)に盛り込み、党を挙げて推進してきたものです。わが国の社会保障の新たな柱の一つとして定着、発展させていくことが期待されています。
 これまでは、雇用保険と生活保護の間のセーフティネットに隙間がありました。雇用保険に加入できない多数の非正規労働者の存在や、雇用保険の失業手当の支給期間を過ぎても就職できない中高年齢者の困窮、当面の生活費確保に追われて職業訓練を受けられない若者など、生活保護に至るまでのはざまで多くの人が生活不安を抱え、苦闘している現状があります。
 雇用保険は3月31日から、公明党の推進で、適用基準が「1年以上の雇用見込み」から「6カ月以上の雇用見込み」に緩和。新たに約150万人が加入できる見通しになるなど、保険機能が強化されました。
 その上で、訓練・生活支援給付は、なおかつ雇用保険の適用を受けられない人や雇用保険の受給期間中に就職できなかった人、自営業の廃業者らを対象に、職業訓練を受ける間、月12万円の生活費(単身者は月10万円)を支給するのに加えて、上限月8万円の貸し付け(単身者:月5万円)を行い、安心して資格や技術を身に付けられるようにし、正社員への就職をバックアップする仕組みです。年収要件は、現状を直視し前年の収入ではなく、離職後の年収見込みで判断する方向です。
生活再建へのトランポリン政策実現に公明党が奔走
 こうした離職者が生活保護に至る手前で、安定した就労へ再就職できるようにする仕組みづくりは、いわば“トランポリン政策”とも言うべきもので、未来の社会への投資と位置付けて、積極的に整備することが必要です。
 公明党は太田昭宏代表自らが3月9日の政府・与党連絡会議で、生活支援と職業訓練を一体的に給付できる制度の創設を急ぐよう訴えるなど、訓練・生活支援給付の実現を力強くリードしてきました。
日本、無保険失業者の比率77%??先進国で最悪、ILO報告書
時事通信(2009/3/26)
 日本で失業保険の給付を受けていない失業者の割合は77%に上り、先進国の中で最悪の水準にあることが、国際労働機関(ILO)が24日発表した報告書で分かった。派遣労働の規制緩和などを急速に進める一方、非正規雇用者のセーフティーネット整備がおろそかなため、日本の労働者が国際的にも極めて厳しい状況に置かれている事情が浮き彫りになった。
 報告書は新興市場国を含む主要8カ国を取り上げた。このうち最も「無保険失業者」の比率が高いのはブラジルで93%、次いで中国が84%で日本は両国に続く高さ。4位の米国は57%にとどまり、ドイツやフランスは10%台。主な先進国で日本の突出ぶりは明らかだ。
 ILOは先進国が加盟する経済協力開発機構(OECD)諸国のうち「半数の国で50%以上に上る」とも指摘。ILO幹部は日本の突出ぶりについて「失業保険の受給まで待たされる期間が長く、受給できる期間が短いことが影響している可能性がある」との見方を示した。