2008年の合計特殊出生率が1.37(推計値)となり、3年連続で上昇しました。合計特殊出生率とは“1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数”のことです。
30代女性を中心に出生率が向上
 合計特殊出生率は、2007年より0.03ポイント上がり、過去最低だった05年の1.26から3年連続で上昇しました。これは1982〜1984年以来、24年ぶりのことです。この背景には女性の晩婚化が関係していると思われ、71〜74年に生まれた団塊ジュニアを含む30代が出生率を底上げする役割を担っています。
年代別に見ると、過去最低の出生率を記録した2005年と比べて、25〜29歳の出生率は1.04倍ですが、30〜34歳は1.1倍、35〜39歳は1.2倍と、比較的高い年齢の女性の出生率が増えて全体の数字を押し上げています。
平成20年合計特殊出生率
それでも続く少子化傾向
 出生率はやや上向きましたが、いまの人口を維持するには2.07の出生率が必要なので、今回の1.37という数字はまだまだ低いことになります。なによりも出産期の女性人口は減り続けていますから、少子化の流れに歯止めがかかったわけではありません。
 この流れを少しでも遅くするには、いまよりもさらに子どもを産みやすくして、子育てと仕事を両立できるような社会的しくみを整えていかなくてはならないでしょう。また、減少する産婦人科などの医師の数を確保し、妊婦が安心して出産できる体制を充実させていかなければなりません。
 一方、出産にかかる費用については、公的支援が現実に追いついてきました。
出産費用は平均42万4千円
 全国の医療機関を対象にして、厚生労働省研究班が行った調査によれば、出産にかかる総額の全国平均は42万4千円でした。このうち最も高い東京都が51万5千円で、最も低い熊本県は34万6千円で、最大1.5倍の地域格差があります。(全国約1700カ所の診療所・病院からの回答による)
 通常の出産は健康保険の適用外となるため、自由診療の価格が請求されます。そのために出産費用を補助するために公的医療保険から出産育児一時金が支給されるようになっています。出産育児一時金は全国一律で38万円ですが、2008年10月からは緊急少子化対策として、4万円プラスされ42万円になり、全国平均額に見合う水準となりました。(2011年3月末までの暫定措置です)
検診費用も実質無料に
 妊娠は病気ではありませんから、検診費用も本来は全額自己負担になっています。このため検診を受けない妊婦さんもいて、出産のリスクも高くなってしまうケースがあります。いわゆる飛び込み出産というもので、産気づいていきなり病院に行くことになるのですが、そうなると受け入れる側も、これまでの経過が分からない妊婦を引き受けることになるため、相当のリスクを覚悟しなくてはなりません。とくに近年は、出産時に赤ちゃんやお母さんに何かあった場合に医師に重い責任を求めるようになっていますから、病院側では知らない妊婦さんの飛び込み出産はなるべくなら避けたいという意識があります。
 このような事態を予防するために、国は検診費用を14回まで負担して無料化しました。これは出産までに妊婦が受ける検診回数として望ましい回数とされており、これで基本的に妊娠から出産までの検診用はすべて実質無料となりました。
 妊娠から出産までに必要な健診は、厚生労働省によると次のとおりです。
妊娠初期〜23週まで・・・4週間に1回
妊娠24週〜35週まで・・・2週間に1回
妊娠36週〜分娩まで・・・1週間に1回
参考写真