「ポスト京都」へ日本が交渉リードを
 2020年までの温室効果ガス削減の中期目標が「05年比15%削減」に決まり、6月10日、麻生総理が発表しました。
 中期目標をめぐっては、一部の経済団体や労働組合が「05年比4%削減」を主張する一方、公明党から入閣している斉藤鉄夫環境相は「05年比21〜30%削減」を訴えていました。公明党も、日本経済の発展や、日本が世界をリードする省エネ・環境技術を一段と高め、国際競争力を維持・向上させるために、野心的な高い目標設定を求めてきました。
 政府が当初検討していた「05年比14%削減」から、1%でも上積みしたことは、公明党や斉藤環境相の主張を反映した結果です。
 また、首相は中期目標達成が「30年の約25%削減、50年の約70%削減」につながるとした。長期目標実現までの道筋を示したことは評価できます。
 しかし、こうした政府方針にも国民の受け止め方は一様ではありません。翌日の新聞各社の社説も、大きな落差が見受けられました。
参考写真 朝日新聞社説(2009/6/11付け)では、「日本の生きる道は、来るべき低炭素時代に世界トップ級の国際競争力を確保することしかない。温室効果ガスの削減に努力すればするほど技術革新が促され、産業や社会の低炭素化とともに新たな経済成長の道も開ける。削減目標は低炭素革命の起爆剤なのだ、と考えたい」と、削減目標を位置づけました。
 反面、産経新聞社説(2009/6/11付け)は、「日本に過酷な重荷がのしかかる中期目標だが、身を削る思いで達成しても地球の温暖化防止には、焼け石に水であるのがむなしい」と、諸外国(特に発展途上国)との交渉の重要性を強調し、高い削減目標の設定に慎重な姿勢を明確にしています。
 甚大な自然災害などをもたらしかねない地球温暖化の防止は“待ったなし”の課題です。国と地方、企業、そして私たち国民一人一人が、それぞれの立場で前向きに取り組み、目標を達成することが必要です。
 今後の焦点は、京都議定書に続く地球温暖化対策の枠組み合意をめざす国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)に向けた国際交渉の行方です。米国や中国、インドなどの主要排出国が参加する、実効ある枠組みの構築が求められています。
 日本の中期目標は、省エネなどによって国内で削減する「真水」の数値であり、森林吸収や外国との排出権取引は含まれていない。首相は中期目標を「国際交渉に向けた第一歩」とし、真水以外の扱いは「今後の国際交渉を見て判断」する考えを示しています。新たな枠組みの合意に向け、日本の強いリーダーシップを期待します。
温暖化防止のコストは未来への投資
 日本の目標達成には、(1)太陽光発電を現状の20倍に、(2)新車販売の50%、保有台数の20%をエコカーに、(3)新築住宅の80%を次世代省エネ住宅に――などの施策が必要になります。太陽光発電の普及を後押しする買い取り制度の早期実施や、今年度補正予算に盛り込まれ、すでに大きな経済効果が見込まれているエコカーへの買い替え補助、省エネ家電を普及させるためのエコポイント制度など、支援策のさらなる充実が不可欠です。
 エネルギー政策の転換も急がれる。斉藤環境相が5月に石炭火力発電所の新設計画にストップをかけたが、石炭火力の効率アップや、自然エネルギーなどへの移行を進めるべきです。
 企業にも一層の努力が要求される。製造過程における温室ガス削減や、省エネ効果の高い製品の開発・低コスト化などに力を注ぐべきです。
 家計への影響もあるだろう。各家庭での節電やクールビズの励行とともに、維持費が安く長い目で見れば得をするエコ製品への買い替えをお願いしなくてはなりません。
 温暖化防止のコストを未来への投資ととらえ、低炭素社会の構築を着実に進めたいものです。