ふるさと納税:1851件、2億4738万円寄付 謝礼より使い道重視 /茨城
毎日新聞(2009/7/9)
◇件数トップ、阿見町
 居住地以外の自治体に住民税の一部を寄付できる「ふるさと納税」で、昨年の制度導入から今年5月末までに、県内の自治体に計1851件、約2億4738万円の寄付があったことが、県のまとめでわかった。件数を見ると、海軍飛行予科練習部(予科練)平和記念館を建設中の阿見町が順調に寄付を集める一方、特産品をつけるなどして寄付を呼びかけた自治体は苦戦気味。謝礼よりも使い道が重視されている実態が浮かんだ。
 阿見町は戦時中に町内に置かれていた予科練の歴史を後世に残す平和記念館を建設中(来年2月開館予定)。町外在住者が記念館の整備管理基金に寄付をすると、ふるさと納税制度が適用される仕組みで、寄付は開館後の運営費となる。
 町予科練平和記念館整備推進室によると、予科練出身者や家族など全国から幅広く寄付が寄せられているといい、その数は5月末で1352件。担当者は「趣旨に多くの賛同をいただけた」と声を弾ませる。
 一方で、阿見町以外の市町村の寄付件数は伸び悩む。第2位の大洗町でも61件にとどまっており、4自治体では寄付がいまだゼロ。
 大洗町は、5000円以上の寄付者に「大洗まごころ便」として地元特産品を贈る特典を設け、町ホームページに掲載したり、案内状を送付するなどして寄付を呼びかけた。このほか、鉾田市、筑西市、境町など県内の3分の1の自治体が、金額に応じて農産物や施設利用券を贈るシステムを採っているが、寄付が5件に満たない自治体もある。
 大洗町まちづくり推進課の担当者は、確定申告などの手続きの煩雑さが低調な理由だとの見方を示す一方で、「阿見町のように共通の思いを寄せられるような事業でなければ厳しい」と認めている。
 金額では、地元出身の会社経営者などから高額の寄付があった大子町がトップとなるなど、「大口納税」を得た自治体が上位を占めた。

 井手よしひろ県議は、7月10日、県税務課と市町村課より「ふるさと納税の実績」に関する資料の提供を受けました。平成20年4月よりスタートした「ふるさと納税制度」は、住民税の一部を出身地などの地方自治体に寄付できる仕組みです。居住地以外の都道府県や市町村に5000円以上の寄付をした場合、住民税の1割を上限に控除するというもので、地方の財政基盤強化策のひとつとして期待されています。
 市町村課によると、茨城県全体では1851件の寄付があり、金額では1億102万5千円で、大子町がトップとなりました。
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 大子町には、「うまい棒」などのヒット商品で知られる菓子製造販売会社「リスカ」の武藤則夫社長が、「ふるさと大子応援寄附金」に1億円を寄付しました。武藤社長は大子町の出身。大子町は、「武藤文化福祉基金」を設立して活用します。大子町では武藤社長の意志を尊重して今後、基金を元に平成22年3月に完成予定の「大子ふれあい交流センター」(仮称)におけるプロ音楽家を招いたコンサートや映画鑑賞会、子育て支援事業などへの助成を計画しています。大子町の一般会計予算は85億円余り、税収は約18億円程度。1億円のふるさと税は、町にとって「財政状況が厳しいなか、涙が出るほどうれしい」(綿引久男町長談)プレゼントとなりました。
参考写真 件数のトップは阿見町。1352件で1875万円余りの寄付がありました。
 阿見町では、戦時中町内に設けられていた海軍飛行予科練習部(予科練)の歴史を伝えるため、記念館整備に向け、「予科練平和記念館整備管理基金」を設置しています。予科練出身者や家族など全国から幅広く寄付が寄せられています。(写真は、建設が進められている「予科練平和記念館」)
 一方、神栖市、鉾田市、東海村、美浦村の4市村は寄付が一件もありました。財政力は県内では豊かな市村への寄付がなかったことは、ある意味でふるさと納税の趣旨に合致した結果ともいえます。
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 都道府県単位でのふるさと納税の実績について、県税務課の資料で見てみると、栃木県(1億1205万円)、大阪府(1875万円)、岡山県(1660万円)がベスト3となっています。茨城県は、100件3400万円余りで、公表された34府県では第6位となっています。
 茨城県では、「寄附金は、『人が輝く 元気で住みよい いばらきづくり』のため、寄付者の意向に基づき、下記のとおり活用させていただきました」として、その使途に関して公開しています。
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