『命より政局』怒りやまず 衆院解散 廃案の山
東京新聞(2009年7月19日)
 21日の衆院解散で、審議中の多くの法案が廃案になる。労働者派遣、肝炎患者支援、障害者虐待防止…。衆院選をにらんで激化した与野党の駆け引きに、重要法案の審議が翻弄(ほんろう)された面は否めない。成立を心待ちにしていた労働者や病気の患者らからは「選挙優先の手柄争い。国民を軽んじている」と怒りの声が上がっている。
<中略>
 B型・C型の肝炎ウイルス感染者三百五十万人(推定)を支援するため、二〇〇七年秋に与野党双方が相次ぎ提案した二つの法案もたなざらしの末、廃案となる。法案は医療費を助成する民主党の肝炎対策緊急措置法案と、医療機関の整備などを進める自民・公明の肝炎対策基本法案。一本化を目指して審議されてきたが、解散が取りざたされるようになった昨年から、選挙向けの駆け引きや手柄意識が先行し、修正協議は事実上ストップした。
 法案成立を待ち望んでいた薬害肝炎訴訟全国原告団の山口美智子代表(53)は「肝炎対策は命の問題。少しでも早く成立させてほしかった」と唇をかむ。
 「党派を超えて取り組むという政治家の言葉を信じたが、手柄取りが透けて見えた。私たちにとっては与党も野党もない。国会議員としてしっかりやっていただきたかった」

 井手よしひろ県議や公明党の地方議員は、街頭での署名や地方議会での意見書採択など、「肝炎対策の基本法」の制定に全力投球してきました。野党民主党の無責任な審議拒否によって、まともな審議もされず廃案となってしまいました。
 薬害肝炎訴訟全国原告団の山口代表の「肝炎対策は命の問題。少しでも早く成立させてほしかった」、「党派を超えて取り組むという政治家の言葉を信じたが、手柄取りが透けて見えた。私たちにとっては与党も野党もない。国会議員としてしっかりやっていただきたかった」とのことばを民主党はどのように理解するのでしょうか。
 21日の解散を麻生太郎首相は予告しました。そのれにもかかわらず、民主党など与党は、内閣不信任案、首相問責決議案などを乱発し、1週間、国会をムダに空転させました。こうした政局優先、選挙優先の国会運営は強く批判されるべきです。
 福田衣里子という人物がいます。大学在学中にC型肝炎ウイルスへの感染が判明し、2004年、実名を公表して、薬害肝炎九州訴訟の原告となりました。以後、講演活動の他、各種メディアに登場するなど、積極的な活動を行ってきました。彼女はこの夏の衆院選に、長崎2区から民主党の候補として出馬します。
 そのブログ「Piquer 〜Ennrico'sroom 薬害C型肝炎と闘いながら、刺繍をしつつ楽しく生きる28歳」に、肝炎基本法の廃案に対する記述がありました。
 先日、与野党から提出されていた、肝炎に関する法案が廃案となってしまいました。
 2年前、全ての肝炎患者の支援法を、薬害被害者の救済法と、同時並行して成立して欲しいとの原告をはじめ患者の声を受け、民主党から「医療費助成法案」が提出されましたが、審議拒否され廃案となり、今年3月に再提出され、速やかに審議し4月からの実施を目指して来ましたが成立しませんでした。あのまま国会が続いていたとしても、全くめどがたたなかったそうです。
 ならば、選挙をし、すぐに再提出すれば、10月からの実施が可能です。
 民主党案は、医療費助成を所得に応じて、医療費上限0,1,2万。
 B型肝炎向けの抗ウイルス剤の医療費助成もインターフェロン治療と同額で助成します。さらにインターフェロンなどが効かない重症の患者の支援についても民主党案では、患者代表が入った協議会で検討し、その結果に基づき速やかに実施すると明記しています。
 与党は、予算措置で所得に応じての1,3,5万で、インターフェロンの助成のみ。しかし、前年度は、結局治療を開始する患者は増えず、予算は半分余っています。それを考えると、今の予算内で、上限0、1、2万円の医療費助成が出来るはずです。
 また、民主党案は、「国の責任によって。」と責任を明記し、与党は「不幸な出来事」としています。
 与党の案では、今の政策からの進展がないので、与野党協議を申し入れていましたが、審議拒否され続け、廃案となってしまいました。
 選挙後、再提出し、すぐにでも成立させたいです。

 まさに、一方的な弁解に終始しています。政局のために、修正協議を拒否し続けたのは明らかに民主党です。
 「選挙をし、すぐに再提出すれば、10月からの実施が可能です」正に、この考え方が「政局優先」と言うことを、福田氏は知らなくてはなりません。国会議員は、その時その時、ベストを尽くして国の政策を議論しなくてはいけないと思います。福田氏が、本当に法案の成立を望むららば、民主党幹部に、一刻も早い審議入りを強く働きかけるべきです。残念ながら、彼女のブログなどから、そうした努力の軌跡は認められません。
 せっかく肝炎訴訟に努力され、崇高な戦いを続けてこられた福田氏ですが、わずか1年余りで民主党の悪癖に染まってしまったようです。
 惜しむらくは、本当の意味で肝炎の救済を望むなら、薬害エイズ訴訟の川田龍平氏ように「無所属」で、政界に挑戦されるべきだったと思います。