参考写真 日本とアメリカの自由貿易協定(FTA)問題で、農業団体から厳しい批判を受けて民主党は、マニフェストを修正するという醜態をさらしました。
 今度は、その醜態の上塗りをするような議論が小沢前代表から持ち出されました。
 小沢一郎代表代行は、8月8日鹿児島県内で記者会見を行い、「農家には戸別所得補償制度の導入を提案しており、食料自給体制の確立と自由貿易は何の矛盾もない」と延べ、鳩山由紀夫代表らが決めたマニフェストの文言修正に異論を唱えました。
 小沢代表代行は「(関税を撤廃して安い外国産の農産物が日本に入ってきて)農産物の価格が下がっても、所得補償制度で農家には生産費との差額が支払われる」と主張しました。
 一党の代表と代表代行の意見が異なることも、私どもには理解できません。その上、農業問題のもっとも重要な基本的な視点が、大きくずれていることに驚きを禁じ得ません。このような民主党が、難しい海外との外交交渉ができるのでしょうか?
 さて、本当に農産物の関税をゼロにして、日本農業は生き残ることができるのでしょうか?
 茨城農政事務所の調査では、2007年の60キロあたりのコメの価格は1万2092円。人件費や肥料代などを含めたコメの生産原価は、60キロあたり1万6790人に達しています。現状でも、その差額は4698円もの赤字。これが農家の現実です。この4698円の内いくらを民主党は補償してくれるかも明らかになっていません。
 コメの関税は778%の高率です。つまり、その関税を撤廃すると現在の価格の8分の1程度の安いコメが日本にどっと入ってくることになります。つまり、60キロ1500円程度のコメが輸入されることになるのです。生産原価との差は、実に1万5000円にも達します。この差額をすべて、国が税金が補ってくれるのか、大いに疑問が残ります。
 戸別所得補償の曖昧さ、FTAへの対応の不統一、マニフェストでぶれまくる民主党の馬脚が現れてきました。