西日本高速道路の石田会長、緊急会見 「公平な政策か」
産経新聞(2009/8/21)
 西日本高速道路(大阪市)の石田孝会長CEO(最高経営責任者)は21日、大阪市内で緊急記者会見を開き、衆院選で注目される高速道路の料金問題について「上限1000円や無料化が公平な政策かと政党間で議論を尽くしてほしい」と訴えた。
 会見で石田会長は「(自公政権による)上限1000円のスタートで高速道路の利用台数が増えサービスエリアなどの売り上げが増えたが、一方ではフェリーや鉄道の経営環境を悪化させるなど“つけ焼き刃”の不公平な施策だ」と批判した。
 民主党が政権公約(マニフェスト)で打ち出した高速道路料金の無料化についても「定時で快適に走行する便益を受ける利用者が対価を払うのが当然。道路の建設費や維持管理費を、利用しない人からも税金として徴収するのは正しいことか」と疑問を呈した。
 その上で欧米の先進国では高速道路の有料化が進んでいる実態を説明し、「教育や医療、防衛、治安などにお金が必要な時期に、上限1000円のために年間2500億円、無料化では年間2兆円を税金から投入するのは逆行だ」と指摘した。

参考写真 8月24日、物流関係の会社の社長さんと意見交換を行いました。民主党が主張する「高速道路無料化」への意見をお伺いするためです。この会社は、地元、日立製作所や関連企業の物流が主な仕事で、遠くは青森、秋田、大阪まで貨物の搬送しているそうです。その社長は、開口一番「無料化などとんでもない」と一喝。運送料金の体系は距離や高速道路を使用するか否かなど詳細に決められており、高速道路を使用する経費は運賃に上乗せできていると説明した上で、「高速道路料金が無料化されれば、その分、運賃は減額される。すべての車が高速道路を利用することによって、渋滞や事故が増えれば、ドライバーの負担は今以上に大きくなってします。自民・公明の休日1000均一でも、日曜から月曜早朝の時間帯は影響を受けている。無料化によって経済が活性化するという政策は、机上の上の空論だ」と厳しく民主党のマニフェストをれました。
 さらに、ガソリンや軽油の暫定税率の撤廃にもふれ、「トラック業界は軽油の暫定税率がどうなるかに注目している。地方の財政が非常に厳しく、地方道路、生活道路の整備に予算が回っていない。軽油引取税は、地方の貴重な財源だ。暫定税率を下げるより、生活に身近な道路の整備は重点的に進めるべきだ」と持論を展開されました。
 民主党はそのマニフェストで、2010年度から、渋滞の悪化が予想される首都高速道路や阪神高速道路などを除き、高速道路を段階的に実施する構想を明らかにしています。
 これが具体化すれば、確かに一層の経済効果は期待できます。トラック、バスを含む全車種が全日、タダになる。コスト削減で物流は活発化しそうです。しかし、これ自体は運送業に携わる方にはメリットになりません。なぜなら、荷主より運賃の値下げを迫られるからです。
 さらに数々の問題が発生します。まず料金収入激減で、旧道路公団などが残した40兆円近い借金の返済が出来なくなります。
 民主党は、借金を国債で肩代わりし、年1.3兆円の税金を投入して60年かけ返済する案を示しています。高速道を使わない、子どもや高齢者も含めて国民一人あたり1万2000円もの負担増となります。受益者負担の大原則が崩れてしまいます。
 原則無料化で高速道路の通行量が伸び、排ガスの量も増えます。温室効果ガスの国内排出量を削減する中期目標について、民主党は1990年比で25%もの削減を打ち出しています。政府目標の05年比15%削減をはるかにしのぐ目標ですが、高速料金の原則無料化は、それと大きく矛盾する政策です。民主党はこれをどう説明するのか明確な回答はありません。
 民主党が掲げるガソリンなどの暫定税率の廃止も極めて問題です。消費税1%に相当する年間2兆5000億円もの税収が消えことになります。暫定税率の含む道路特定財源は、一般財源化され社会保障など福祉分野でも活用されることになっています。こうした財源を、政権奪取のエサとして使って良いのでしょうか?