参考写真 茨城県は、地方自治体の財政状況を示す4つの財政指標(2008年度版)を、県と市町村分について公表しました。これによると、県や全市町村は、「財政健全化団体」や「財政再生団体」に該当する基準に該当する自治体はありませんでした。
 しかし茨城県は、「将来負担比率」が、2007年度決算に引き続き全国平均を大幅に上回る288.7%に達し、全国でもワースト4位と危険な水準になっています。「将来負担比率」は、公社や第三セクター分も含め今後支払う負債総額が、自治体の収入の何倍かを示す指数です。「将来負担比率」の早期健全化基準400%ですが、全国平均を53.9%も上回っており、兵庫県、北海道、岩手県に次いで全国ワースト4位。0.1%差で前年度4位の大阪府と順位が逆転しました。
 県債残高1兆4015億円に加え、つくばエクスプレス沿線の県有地や公社の保有土地などが重い足かせとなっています。
参考:平成20年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要(速報:総務省のHPより)
 この未処分の県有地問題(特にTX沿線の未処分地)は、10月2日の県議会県出資団体等調査特別委員会でも議論されました。
TX沿線開発で県議会特別委
常陽新聞(2009/10/3)
 県議会出資団調査特別委員会(西條昌良委員長)が2日開かれ、2008年度末時点で840億円の将来負担が生じることが明らかになっているつくばエクスプレス(TX)沿線開発の「都市計画事業土地区画整理事業特別会計」に対し、県は一般会計から840億円を繰り入れるなどの対策を検討していく必要があると表明した。
 繰り入れ時期について上月良祐総務部長は、現時点は、県住宅供給公社、県開発公社、県土地開発公社3公社の破たん処理などを優先し、財政状況を見ながら「一般財源で前倒しして平準化しながら対応していく」などとした。
 委員会では「つくばが県をリードするのではなく、足かせになっては困る」(森田悦男委員)、「今後売れそうな土地と、売れそうにない土地を見極める時期にきている」(常井洋治委員)、「計画縮小など事業そのものの見直しを検討したことはあるのか」(足立寛作委員)などの意見が出された。
 これに対し県は「TXの場合、実務者の立場で見直すことは困難」とし、?県の先買い地が山林や農地のまま残されてしまい価格が下がる?道路や上下水道整備など後年に大きな負担が掛かる?約2200人の地権者の同意が得られない―など、事業の見直しをしない方針を改めて示した。
 TX沿線開発による県の借入残高は08年度末で2183億円、利子負担だけで毎年30億円程度かかっている。土地を売った代金で借入金を返済する計画だが、08年度の土地処分金額は18億5800万円で、毎年の利子にも満たなかったことから、利払いなどのため毎年、新たな借金をしている。県と開発公社などの出資団体が保有する土地全体の借入残高は08年度末で4379億円、年間の利子負担は64億円で、TX沿線開発が半分を占める。
 TX沿線のこれまでの土地処分実績は、06年度7.1ヘクタール(改革工程表の目標は6.2ヘクタール)▽07年度8ヘクタール(同24.6ヘクタール)▽08年度1.6ヘクタール(同25.4ヘクタール)―で、08年度末時点で目標の3割しか達成してない。
 今後について県は、民間事業者の積極的な受け入れ、商業・業務用地は定期借地の拡大、土地購入者の分割払いの導入、地価動向に応じた適正な価格設定に努めるなどして土地処分を推進していきたいとした。

 つくばエクスプレス(TX)沿線開発の県有地はその売却が進まず、約840億円に達する巨額の将来負担が見込まれています。その対応策として、県は、沿線の土地区画整理事業特別会計(TX特会)に県の一般財源を投入する検討の必要性を検討しています。税金投入のタイミングや規模などをまとめた全体計画を今後策定し、2010年6月までに特別委員会に報告する考えを示しました。
 県には、住宅供給公社、土地開発公社、開発公社の3公社分の土地処分も重くのしかかっており、巨額の税金投入には慎重論も燻っています。
 TX沿線の未分譲県有地は約352.3ヘクタール。土地需要の減少で、昨年度は目標25.4ヘクタールに対し実績に処分できた面積は1.6ヘクタールと、計画を大幅に下回っています。県は昨年9月の財政再建等調査特別委で、土地をすべて処分しても事業終了時に約860億円の将来負担額が見込まれ、緑地や河川調節池用地など公共利用の約270億円分を除いた約590億円について、税金投入が必要との試算を公式に認めています。
 県によると、3公社対策などを合わせ税金投入額は約20年間で約1700億円にも達するため、TX特会の具体的な処分策は、まだ決定されていません。