平成21年第3回定例県議会で井手よしひろ県議は、公明党を代表して橋本知事への代表質問を行いました。所要時間は質問に40分、答弁に40分の合計80分です。10月9日の井手県議の代表質問の視点を項目ごとに紹介します。第5回目は、「茨城空港の開港に向けての取り組み」です。
国内に97の空港、地方空港整備はほぼ一巡
国内の空港は、2009年9月現在で97カ所です。各空港の管理は、基本的に国か地方自治体に分けられます。成田・中部・関西の各国際空港については、国の指定した特殊会社が運営する会社管理空港(3カ所)です。東京国際(羽田)、新千歳、福岡など空港は国が設置・管理する国管理空港(20カ所)。さらに国が設置し地方に管理を委託する特定地方管理空港(5カ所)、地方が設置・管理する地方管理空港(54カ所)、自衛隊の飛行場と共用し民間空港機能を国が管理する共用空港(6カ所)などの形態があります。
1967年度からの第1次空港整備5カ年計画をきっかけに全国で本格的な整備が始まりました。当時、52カ所だった国内空港は40年後の2007年には97カ所に拡大。今では全人口の約70%は最寄りの空港が1時間以内に位置し、2時間以内であれば95%をカバーできる環境が整いました。
20O7年度の国内線利用客は9485万人で30年余で3.7倍の増となりました。しかし、その利用者数は、東京、大阪と各地を結ぶ路線の乗客が全体の75%を超えているのが特徴です。政府は昨年末、国内空港の設置、管理に関する基本方針で、離島を除く空港の新設抑制を示し、政策の軸足は「整備」から「運営」に移ってきました。
国内の空港ネットワークはほぼ整ったともいえます。その半面、国内線では地方路線を中心に減便や廃止が増えています。昨年来の未曾有の経済危機による利用客離れに原油高騰が拍車を掛け、搭乗率の低い不採算路線が減便・廃止のターゲットになっています。特に就航便の路線が限られる地方空港にとっては、空港経営に直接響く要因になりかねません。
国が管理する空港の収支については社会資本整備事業特別会計(旧空港整備特別会計)で一括管理しているため、個別の収支は明らかにされていませんでした。そのため、前政権は2008年の「骨太の方針」、で各空港の運営状況を透明化する方針を提示。今年7月末、国土交通省が06年度の数値を基に国管理空港について個別収支の試算を初めて公表しました。
それによると、共用空港を含む26空港中、22空港が営業赤字という厳しい結果が出ました。赤字空港には国管理空港の約4割に上る着陸料収入がありながら、来秋完成予定のD滑走路整備のために多額の支出を計上した羽田を含みます。
このように単年度収支だけでその空港の経営状態を図ることは適切ではありませんが、空港経営の効率化は大きな課題です。国交省は、地方管理空港についても収支公表を要請するとしています。
鳩山新政権は特別会計の見直し方針
こうした中、前原国土交通相が空港整備に使っている特別会計=「空港整備勘定」の抜本見直しを表明しました。
この勘定は航空会社が払う空港使用料や着陸料などを原資として、空港整備に充てています。国交相は、この特別会計が「不採算の空港を造る要因になっている」などとして抜本改革を打ち出しています。しかし、既に滑走路増設や離島の空港新設計画を抱えている地域からは事業費減額や中止に対する懸念の声が挙がっています。
平成21年度予算ベースで「空港整備勘定」を概観してみると、歳入額5280億円の内、4632億円は航空燃料税や着陸料などの空港利用者の負担です。純粋な一般財源(いわゆる税金)の投入は648億円で、全体の12.3%に過ぎません。無駄な地方空港整備に国民の血税が使われているとの短絡的な批判は的はずれです。
さらに、歳出面を見てみると、その内半分近く(48.2%=2547億円)が、羽田空港関連の事業に使われていることに驚かされます。批判の対象となっている地方空港整備には391億円(7.4%)、茨城空港には39億円(0.7%)が支出されているに過ぎません。
離島など固有の事情を抱える地域における航空輸送の公共性を踏まえれば、特に地方の空港経営には国や地方財政からの一定程度の支援は必要になってきます。地方空港を孤立性だけで批判することは適切ではありません。地域の実情を十分加味した慎重な判断が望まれます。
ターミナルビルは地域の賑わいの拠点に
こうした地方空港の状況を踏まえて上で、井手よしひろ県議は、茨城空港の当面の課題について、橋本知事に質問しました。
井手県議は、来春開港予定の「茨城空港」は、今までの固定観念と決別して、全く新たな発想で勝負する空港と位置づける必要性がありと指摘しました。県は、台頭著しい格安航空会社(LCC)対応の日本初の空港として、茨城空港を整備してきました。これは、静岡県のように搭乗率保証を県民の血税から捻出するような従来の方式から比べると、画期的な方針転換であると評価しました。
その上で、今後、国交省も今までの閉鎖的な航空行政を転換させなくてはならない時期がくるとし、オープンエアーという世界的な流れを日本だけが無視することはできないと語りました。「海外資本の航空会社が、LCCを日本の国内線に飛ばす日が早晩来る」との予測を述べました。
そして、こうした茨城空港の当面の運営を支えるためには、斬新な発想が必要と強調。例えば、空港ビルは単なる空港機能だけに限定せず、地域の観光スポットに変身させる必要がありますと提案しました。また、茨城空港は自衛隊百里基地の共用空港ですから、数多くの航空ファンが訪れることも期待され、こうした方々のニーズに応えることができれば、ターミナルビルの維持経費を捻出することが可能だと語りました。
さらに、航空会社の就航交渉の現状についても知事に報告を求めました。
この質問に対して橋本知事は、ターミナルビルの運営方針について、夕−ミナルビルが航空機の利用者だけでなく、広く一般の方々にも利用いただき、賑わいのある施設として利用される必要があるとの見解を示しました。
このために、地元商工会や農協、出店者等に働きかけ「ターミナルビル有効活用検討チーム」を立ち上げ、ビルへの集客や安定的な経営を図るための具体的な取り組み方策について、検討を進めていると報告しました。
井手議員のアシテナショップ的な活用との提案については、県内の特産品を取り揃えた物産展の開催や空港限定の土産物の販売、さらには、百里基地と連携した空港ミニツアーの実施や関連グッズ販売、といったアイディアが出されており、具体化に向けた検討を行うと答弁しました。
マレーシア、フィリピン、中国、マカオなどの航空会社中心に就航交渉
さらに、就航交渉の現状について語り、「ローコストキャリアにつきましては羽田・成田の発着枠が極めて限られているところから、茨城空港を利用する可能性が高いものと考えており、県といたしましては、このような航空会社を中心に、誘致を図っているところです」と答弁しました。その上で、茨威空港に関心を示しているマレーシア、フィリピン、中国、マカオなど、複数の航空会社に対し、運航コストが安価であることや、利用客確保のため、ウェッブや新聞を活用した広告、コンビニ等との共同キャンペーン、イベント出展など、県と航空会社が一体となったプロモーションを実施する用意があることなどをアピールし、就航を働きかけていると答えました。
また、航空会社によっては、相手国の政府等が関係している場合があることから、今後は、国にも積極的に就航交渉に参画するよう促したいとしました。
こうした中、前原国土交通相が空港整備に使っている特別会計=「空港整備勘定」の抜本見直しを表明しました。
この勘定は航空会社が払う空港使用料や着陸料などを原資として、空港整備に充てています。国交相は、この特別会計が「不採算の空港を造る要因になっている」などとして抜本改革を打ち出しています。しかし、既に滑走路増設や離島の空港新設計画を抱えている地域からは事業費減額や中止に対する懸念の声が挙がっています。
平成21年度予算ベースで「空港整備勘定」を概観してみると、歳入額5280億円の内、4632億円は航空燃料税や着陸料などの空港利用者の負担です。純粋な一般財源(いわゆる税金)の投入は648億円で、全体の12.3%に過ぎません。無駄な地方空港整備に国民の血税が使われているとの短絡的な批判は的はずれです。
さらに、歳出面を見てみると、その内半分近く(48.2%=2547億円)が、羽田空港関連の事業に使われていることに驚かされます。批判の対象となっている地方空港整備には391億円(7.4%)、茨城空港には39億円(0.7%)が支出されているに過ぎません。
離島など固有の事情を抱える地域における航空輸送の公共性を踏まえれば、特に地方の空港経営には国や地方財政からの一定程度の支援は必要になってきます。地方空港を孤立性だけで批判することは適切ではありません。地域の実情を十分加味した慎重な判断が望まれます。
ターミナルビルは地域の賑わいの拠点に
こうした地方空港の状況を踏まえて上で、井手よしひろ県議は、茨城空港の当面の課題について、橋本知事に質問しました。
井手県議は、来春開港予定の「茨城空港」は、今までの固定観念と決別して、全く新たな発想で勝負する空港と位置づける必要性がありと指摘しました。県は、台頭著しい格安航空会社(LCC)対応の日本初の空港として、茨城空港を整備してきました。これは、静岡県のように搭乗率保証を県民の血税から捻出するような従来の方式から比べると、画期的な方針転換であると評価しました。
その上で、今後、国交省も今までの閉鎖的な航空行政を転換させなくてはならない時期がくるとし、オープンエアーという世界的な流れを日本だけが無視することはできないと語りました。「海外資本の航空会社が、LCCを日本の国内線に飛ばす日が早晩来る」との予測を述べました。
そして、こうした茨城空港の当面の運営を支えるためには、斬新な発想が必要と強調。例えば、空港ビルは単なる空港機能だけに限定せず、地域の観光スポットに変身させる必要がありますと提案しました。また、茨城空港は自衛隊百里基地の共用空港ですから、数多くの航空ファンが訪れることも期待され、こうした方々のニーズに応えることができれば、ターミナルビルの維持経費を捻出することが可能だと語りました。
さらに、航空会社の就航交渉の現状についても知事に報告を求めました。
この質問に対して橋本知事は、ターミナルビルの運営方針について、夕−ミナルビルが航空機の利用者だけでなく、広く一般の方々にも利用いただき、賑わいのある施設として利用される必要があるとの見解を示しました。
このために、地元商工会や農協、出店者等に働きかけ「ターミナルビル有効活用検討チーム」を立ち上げ、ビルへの集客や安定的な経営を図るための具体的な取り組み方策について、検討を進めていると報告しました。
井手議員のアシテナショップ的な活用との提案については、県内の特産品を取り揃えた物産展の開催や空港限定の土産物の販売、さらには、百里基地と連携した空港ミニツアーの実施や関連グッズ販売、といったアイディアが出されており、具体化に向けた検討を行うと答弁しました。
マレーシア、フィリピン、中国、マカオなどの航空会社中心に就航交渉
さらに、就航交渉の現状について語り、「ローコストキャリアにつきましては羽田・成田の発着枠が極めて限られているところから、茨城空港を利用する可能性が高いものと考えており、県といたしましては、このような航空会社を中心に、誘致を図っているところです」と答弁しました。その上で、茨威空港に関心を示しているマレーシア、フィリピン、中国、マカオなど、複数の航空会社に対し、運航コストが安価であることや、利用客確保のため、ウェッブや新聞を活用した広告、コンビニ等との共同キャンペーン、イベント出展など、県と航空会社が一体となったプロモーションを実施する用意があることなどをアピールし、就航を働きかけていると答えました。
また、航空会社によっては、相手国の政府等が関係している場合があることから、今後は、国にも積極的に就航交渉に参画するよう促したいとしました。
記事の中の「LCC受け入れ空港の選定」の話は茨城県はご存じなんでしょうか。
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=42713&cid=2
国交省成長戦略会議、LCCや首都圏空港の拡充など議論−11年度予算に反映へ
国土交通省は10月26日、「成長戦略会議」の第1回会合を開催し、会議の基本的な
方向性を確認したほか航空分野での議論を開始した。成長戦略会議は、「港湾の
競争力」「観光立国」「オープンスカイ、航空行政の競争力強化」「建設、運輸
産業のさらなる国際化」のテーマで、各分野での成長に向けた戦略を検討するもの。
(略)
その上で、当面の重要な論点として、「格安航空会社(LCC)」と「首都圏空港容量
の拡充と内際ハブ構築」を例示。LCCについては、国際線LCCを受け入れる空港の選定
と支援や参入促進策、国内線LCCの確立などについて検討する必要があるという。