参考写真 井手よしひろ県議は、2007年12月から月曜、水曜、金曜日の週3回、日立市内のJR大みか駅、常陸多賀駅、日立駅、小木津駅、十王駅の5箇所で、駅頭での県議会報告会を開催しています。11月19日、通算301回目となったJR日立駅頭での議会報告では、12月県議会の日程などを紹介すると共に、政府が行っている“事業仕分け”についての見解を述べました。
“事業仕分け”は結果ありきのパフォーマンス
 政府行政刷新会議による各府省の22年度予算概算要求に関する“事業仕分け”の模様が大きく報道されています。いかにも大胆にムダを削減しているかのようにみえますが、実態は意味のない作業を大仰にやっているとしか感じられません。
 そもそも、鳩山総理自身が、22年度予算の内容は財務大臣が各閣僚と調整して内閣が決定するとしており、“事業仕分け”の結果はあくまで参考意見との位置づけであり、実際の予算編成に直接反映させるのには消極的な態度です。しかも、予算要求している閣僚からも批判が続出しています。存在感の薄い仙石大臣や無役議員の出番をつくるだけの茶番劇に終わり、結果として「大山鳴動してねずみ一匹」になるのではないでしょうか?
“事業仕分け”の効果は限定的
 “事業仕分け”の効果にも疑問を感じます。従来だと概算要求額が、事前に政府・与党で決定されてきた概算要求基準(いわゆる“シーリング”)に基づき、各府省から要求が出される前の段階で一定金額以内に収まるように調整されていました。例えば、21年度については約89.1兆円でした。その上で、予算編成過程での査定や政府・与党での折衝によって、政府原案、21年度については約88.5兆円が決定されてきました。 
 しかし、22年度についてはシーリングを設けていないため、約102兆円に上る“水ぶくれ”予算が要求されています。予算の節減効果を出すためには21年度当初予算額を超えない範囲におさめる必要があり、具体的な支出を15兆円近く削減しなければ意味がありません。したがって、仮に現在言われている約3兆円削減が実現したとしても財政は21年度に比べても一層悪化することになります。しかも、それすら達成から程遠いようです。
“事業仕分け”の手法にも問題 
 “仕分け”作業もごく限られた時間内で論議も十分深まらないまま、財務省のシナリオどおりに進んでいる印象を受けます。民間の“仕分け人”の中には、以前に財政審議会などの委員を務めて、“財務省寄り”の考え方の持ち主が数多く含まれているのが実態です。財務省にとって、長年の懸案である地方交付税交付金が本来は“事業仕分け”の性質になじまないにもかかわらず、取り上げられて抜本見直しと結論付けられたことからもわかります。また、国会議員の委員は説明をろくに検討もせずに、一方的に各府省の官僚を叩くパフォーマンスで溜飲を下げているだけのように見えます。
 事業が予定されている自治体や受益者の言い分を丁寧に聞いた上で判断することが重要です。また、そもそも“官僚に依存しない政治主導”であるというのであれば、予算を要求している閣僚と委員が対等な立場で真正面から議論するべきではないでしょうか。
 そもそも、来年度予算概算要求に計上された各省事業のうち約1割に当たる447事業が、“事業仕分け”の検討対象となっているわけですが、その選択の基準も明確ではありません。
 さらに事業仕分けが「すべて公開にして市民の目線で聖域なく」と政府は言っているわけですから、本来は高速道路無料化や子ども手当、農家戸別所得補償など民主党マニフェストの主要な施策についても、事業仕分けの場で検討するのが本筋だと思います。