介護の担い手に!注目の「ヘルパー養成研修」
公明新聞(2009年12月7日)
中学生から高齢者まで、17市町で705人が受講:茨城県
牛久市総合福祉センター内で介護実習に励む受講生の新関さん(右) 介護への理解促進と、地域福祉の担い手育成を目的に、茨城県は今年度から「地域介護ヘルパー養成研修」を実施している。受講生には若い世代が多いが、高齢者の参加も積極的に推進。既に県内17の市と町で705人が受講し、281人の地域介護ヘルパーが誕生している(11月27日現在)。「同様の研修を県レベルで行うのは全国初」(県保健福祉部長寿福祉課)で、大きな注目を集めている。
 茨城県は、国が定めた「訪問介護員養成研修3級課程」(3級ヘルパー研修)の受講を呼び掛ける「県民3級ヘルパー受講運動」を2003年度から展開。毎年の3級課程修了者数は全国でも毎年トップクラスを維持し、3級ヘルパーの数は08年度末までに1万2132人にまで増加した。
 また、中学生の参加を積極的に呼び掛け、2259人の中学生3級ヘルパーが新たに誕生した。
 一方、09年度の介護報酬改定に伴って、3級ヘルパー研修が廃止されたため、県はこれまでの運動を引き継ぐ新たな取り組みとして「地域介護ヘルパー養成研修」を今年(2009年)4月からスタート。引き続き若者の受講を呼び掛ける一方、“老老介護”の増加を見越して高齢者の受講も推進し、世代を超えた受講生が交流しながら研修を行うことで、地域一体となった介護に取り組んでいる。
 研修は、各市町村の社会福祉協議会など、県が指定する事業者が実施。「家事援助の方法」といった講義や「介護技術入門」などの演習、在宅サービス提供現場の見学も行う。
 これにより、在宅介護を適切に効率よく行える能力や、地域で介護ボランティアを行うための基本的な知識と技術を身に付けることができる。また、修了者が県内で2級訪問介護員をめざす際には、実習など一部の科目が免除される。
地域の独自性生かす内容に
 「地域介護ヘルパー養成研修」では、地域の実情や受講者のニーズに合わせた受講時間や科目の設定を認めている。そのため、一部のカリキュラムは各自治体が選択でき、従来の3級ヘルパー研修に比べ、実施主体の独自性を生かしやすくなった。
 中でも、県内で唯一年2回の開講時期を設け、研修に積極的に取り組む牛久市は、認知症介護のための講座を独自に開設。修了後のフォローアップにも力を入れ、情報交換会や勉強会を開いて、地域活動の事業例を紹介している。その結果、研修を終えた同期のメンバーがボランティアグループを結成するなど、多彩な地域貢献活動が展開されている。
 同市在住の新関勝さん(66)は今夏に定年を迎えて研修に参加。「修了後はボランティアとしてできることを探したい」と語る。
 地域介護の担い手づくりについて公明党は、井手義弘県議が04年9月議会の一般質問で「中学校での介護ヘルパーなどの資格取得を県内全域に」と訴えるなど、人材の裾野拡大に取り組んできた。
(写真は、牛久市総合福祉センター内で介護実習に励む受講生の新関さん(右))

 井手よしひろ県議ら公明党の県議団が進めてきた、介護の担い手育成プロジェクトが12月7日付の公明新聞に紹介されました。
 2004年9月の一般質問で、井手県議は、介護予防の取り組みの必要性を強調。「茨城県においては、介護予防に関する先見性あふれる専門家が数多くいらっしゃいます。いきいきヘルス体操などの普及で全国的にも著名な県立医療大学付属病院の院長大田仁史先生、高齢者の体力維持向上、転倒防止に筋力トレーニングを導入して大きな実績を上げられた筑波大学大学院の久野譜也先生など、官民を挙げたさまざまな取り組みが行われ、茨城県は介護予防の先進県と言っても過言ではありません」と指摘した上で、「美野里町などで先進的に始まっております中学校での介護ヘルパーなどの資格取得を県内全域に広めること」が必要と橋本昌知事に訴えました。
 そもそも、茨城県では県立医療大学の大田先生が考案した「いきいきヘルス体操」を、小美玉市の社会福祉協議会(旧美野里町社協)が、地域のお年寄りを訪問しながら広めてきたという実績がありました。同じような発想で介護人材の拡大と介護への理解を深めるために中学生によるホームヘルパー3級研修受講の取り組みがスターとしていました。
 また、鉾田市(旧大洋村)では、筑波大学大学院の久野譜也先生との共同研究により、高齢者による筋力トレーニングを実施し、寝たきり防止にすばらしい効果を上げ、医療費も大幅に削減するという取り組みが行われていました。
 介護ヘルパー3級の制度は、2009年の介護報酬改定に伴って廃止されました。井手県議らは、これまでの運動を引き継ぐ新たな組みとして「地域介護ヘルパー養成研修」を提案、この4月からスタートしました。
茨城県地域介護ヘルパー養成研修とは
参考写真 茨城県では、平成20年度まで実施した「いきいき3級ヘルパー受講推進事業」の趣旨を引継ぎ、助け合い支え合う地域社会づくりを進める地域ボランティアの養成と、家族介護の質の向上を目的として、「茨城県地域介護ヘルパー養成研修」を平成21年度から実施しています。
 本研修を受講することで、在宅での介護を適切かつ効率的に実施できる能力を身につけたり、地域で介護ボランティアを行うための基本的な知識・技術を身につけることができます。
 また、本研修の修了者が引き続き県内で2級訪問介護員を目指すときには、事業者により、一部科目の受講免除を受けることができます。
参考:茨城県地域介護ヘルパー養成研修・研修開講予定