地域に生息 生きものが教材 日立・金沢小学校 自然博物館
東京新聞(2009年12月7日)
 日立市金沢町5の市立金沢小学校(児童507人)に、手づくりの「自然博物館」が完成した。児童たちも参加して、校庭や通学路で見つけた昆虫、野鳥などの身近な生きものの写真や標本を展示。環境学習にも役立て、同校は「小さな生きものたちが教材となり、自分たちの地域や暮らしに関心を高めてもらえれば」と期待を寄せる。
 同校は阿武隈山地のふもとに位置し、周囲は里山に恵まれている。自然博物館は、豊かな自然を「理科教育に結び付けられれば」と、理科室の一部を改修し設置された。
 石川善憲校長が放課後や昼休みなど、子どもたちとの触れ合いの時間の中で、生きものたちを発見し、カメラを向ける。桜の木やアケビのツルなどに生息する昆虫の幼虫や成虫など、さまざまな生態を紹介している。四季を通じて飛んでくる野鳥の撮影も。
 以前は西日本でしか生息しなかったガの仲間、ビロードハマキも校内で見つかった。温暖化の影響とみられ、解説を付けて、生態系の変化も学べるようにしている。
 子どもたちも、林の中に生息していた茨城版「レッドデータブック」に掲載されているタカチホヘビ、シロマダラなど希少種のヘビを捕獲。標本として展示されている。
 自然博物館の資料は、理科の時間だけでなく、美術のモデル、国語の作文の題材にも活用される。現在は写真約二百点、標本約二十点が展示されているが、随時更新し、今後、植物も加えることにしている。
 石川校長は「トカゲやオケラなど少なくなった生きものが多い。子どもたちには、環境の変化なども学ぶきっかけになるはず」と話す。

参考写真 12月8日、井手よしひろ県議は7日付東京新聞で紹介された地元の日立市立金沢小学校を訪れ、石川善憲校長に「自然博物館」、「みんなの図書館」などを案内していただきました。
 金沢小学校では、地域と連携して子どもたちに自然の大切さや読書に親しむ環境整備に様々な工夫をしています。
参考写真 昨年(平成20年)10月には、保護者や教師らの手作りでランチルームを改修して図書館を新たにオープンさせました。これまでの三倍の広さになり、児童たちは広くなった図書室で読書や調べものに熱中しています。金沢小の図書室は、それまで空き教室と読書室を兼ねた一教室分の広さで、すべての蔵書を書架に並べられず、児童らが「調べ学習」で使う時は混雑していました。
 こうした状況を何とかしたいと、隣り二教室分のランチルームを活用し、三部屋にまたがる図書室の改造に取り組みました。昨年の夏休み、プロの大工も加わってボランティア「助っ人隊」の父親ら十数人が集まり、教職員と一緒に大小16個の木製の本棚を二日間かけて製作しました。
 新しくなった図書室は「じゅうたん敷きの自由閲覧室」「シャンデリアのような照明のある閲覧室」「調べ学習室」と、それぞれ特徴があり、階上のコンピューター室とも連動して使いやすくなりました。これまで並べられなかった本約2000冊も並べられ、約1万2000冊の蔵書となりました。
 今年開設された「かねさわ自然博物館」は、石川善憲校長が放課後や昼休みなど、子どもたちとの触れ合いの時間の中で見つけた生き物たちの写真を展示したもの。桜の木やアケビのツルなどに生息する昆虫の幼虫や成虫など、さまざまな昆虫の生態が紹介されています。以前は西日本でしか生息しなかったガの仲間、ビロードハマキも校内で発見されています。地球温暖化の影響とみられ、解説を付けて、生態の変化も学べるように工夫しています。
参考写真 また、平成19年に 金沢小の三年生が見つけた県のレッドデータブックで希少種とされているヘビの標本も展示されています。このヘビは体長約30センチのシロマダラヘビといわれる種で、専門家によると、県内での捕獲例は10例にも満たない大変珍しいものです。さらに、同年7月には六年生がタカチホヘビ(体長50センチ)を発見しています。このヘビの発見例は県内で15例ほどです。
 石川校長は、「学校を単に教科書を学ぶ場ではなく、地域の方の協力をいただいて、様々な驚きや感動を味わえる場にしていきたい」と、学校づくりへの抱負を語ってくださいました。