国の原子力防災訓練:初のマイカー避難 渋滞緩和策など検証
毎日新聞(2009/12/22)
◇JCO事故10年、計画修正 県内4カ所で交通規制
自家用車で避難訓練する車列、国道245号原子力機構前交差点付近で管理者が撮影 日本原子力発電東海第二発電所(東海村)での事故を想定した国の原子力防災訓練が21日、2日間の日程で始まった。東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」臨界事故から10年を迎えた今年、県は原子力災害時に原則的に禁じていたマイカー避難を認めるよう地域防災計画を修正したため、今回訓練では初めて自家用車による避難を試みる。初日のこの日は原子力機構職員らが乗用車200台で避難訓練を実施。22日は県内4カ所で交通規制も実施して一般住民によるマイカー避難訓練を行う予定で、渋滞緩和策などが重点的に検証される。
 訓練は、国と県、東海村などが共催し、約3100人が参加。同日午後1時、原水炉の冷却水が漏れる事故が起きたとの想定で始まった。経済産業省の現地事故対策本部は県原子力オフサイトセンター(ひたちなか市)に設置され、県と関係自治体などがテレビ会議で情報を共有した。
参考写真 発生場所から約8キロ離れた国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)では午後2時40分ごろ、大規模集客施設から来場者がマイカーで避難するという想定で、原子力機構の社員ら約200人が車に乗って順番に公園を“脱出”。参加した男性(22)は「渋滞が起きて避難が遅れないか」と不安げな表情を見せたが、公園駐車場前信号の待機時間を長めに設定する対策がとられ、車は順調に移動できた。
 22日には、施設の半径3キロ以内に住む一般住民ら約150人が本格的にマイカー避難を行う。これに伴い午前10時から11時20分ごろまで、避難経路として混雑が見込まれる国道245号を迂回(うかい)させるため、(1)豊岡三差路と長砂交差点の2地点から同号への進入禁止と、同号方面へ向かう(2)村道(通称・原電通り)(3)県道(同・原研通り)(4)村道(同・動燃通り)からの一部区間が進入禁止になる。
 県原子力安全対策課は「茨城の原子力施設は住宅街にある。もし事故が起きたら、車で逃げる住民が多いと考えられる」とマイカー避難訓練の成否を注目している。
(写真上:常陸那珂火発体育館での放射線サーベイ訓練、写真下:自家用車で避難訓練する車列、国道245号原子力機構前交差点付近で管理者が撮影)
 東海村の東海第二発電所で放射性物質の放出を伴う事故が発生したとの想定で、国、茨城県、東海村、那珂市、ひたちなか市、日立市、常陸太田市、防災関係機関、地元住民など1000名以上が参加する大規模な訓練となりました。
 今回の防災訓練の特徴は、初めて自家用車による住民の避難訓練が行ったことです。今まで、自家用車による避難は、混乱を招くとしてこれまで禁止されてきましたが、自治体が用意するバスだけでは避難に時間がかかりすぎるという課題があり、全国で初めて自家用車での避難を試みました。
 訓練に参加した地元住民は、地域の要介護者に扮した住民を自家用車に乗せて指定された避難所に向かいました。
 井手よしひろ県議は、訓練が始まる午前10時前から「原子力機構前交差点」で、自家用車非難の現状を実際に調査しました。10時20分過ぎには、渋滞が約2.6キロに伸びました。さらに、40分頃から東海火発体育に向けて避難訓練に同行すると、
参考写真 道路は、交通規制が行われ、始めは順調に進みましたが、主要な交差点や避難所の近くでは大規模な渋滞が発生しました。駐車場所などへの誘導が不足していたために、住民が迷う姿もみられました。
 自動車での非難は、自家用車にどのように情報を伝達するかも大きな課題となりました。事故発生の場所によって避難場所やルートは異なるはずで、車の中には防災無線などが聞こえないために、カーラジオに地域防災FM放送を流すなどの取り組みなしでは、混乱が大きくなると懸念されました。