参考写真 12月24日、茨城、埼玉、千葉、栃木、群馬など関東の地方議員有志が集まり、「農家の戸別所得補償を中心とする農政問題勉強会」が、都内の憲政記念館で開催されました。(詳細は2009/12/26付け「戸別所得補償制度に関する勉強会を開催」をご参照ください)
 勉強会では、石井啓一衆院議員、石田祝稔党衆院議員の挨拶の後、農林水産省生産局総務課の戸別所得補償制度を担当する生産推進室福田室長より戸別所得補償制度の概要について説明があり、その後、約50分にわたり質疑応答を行いました。
 ここでは質疑応答の内容をまとめましたので、ご紹介します。
モデル対策推進事業の予算は76億円となっている。市町村には57億円の予算が割り振られると説明されたが、市が行う説明や現地確認など様々な業務を、この予算内で賄うことができるのか
各市町村で平均300万程度の予算が割り振られます。現地確認も、共済のデータをそのまま使用するので、余り手は掛からない仕組みにしたい。

農家にこの制度自体を誰が説明するのか?
今後、国と市町村が連携して説明していく。

戸別所得補償の支払いはどのように行われるのか?
戸別所得補償の具体的な交付申請は7月から始まる。その後、市町村に作付け確認をしていただく。それをもとに、固定部分は機械的に支払いを年内に行いたい。変動部分は、販売価格の結果を待たなくてはならないので年度内に支払う予定です。申請は、共済加入の用紙に支払い口座の番号などを書いてもらうような形で、簡便なものとする。
生産数量目標の設定は?
11月27日に国全体の生産目標が決定され、都道府県に割り振られました。現在。都道府県内で市町村の目標設定が行われています。年明けから市町村から農家ごとに、作付面積の数量が下りてきます。目標面積の設定については、従来通りの方式となります。全国的には4割程度の生産調整になります。この生産目標を守った方だけが、戸別所得補償の対象となります。

地域で生産調整を行っている所と戸別の農家で生産調整を行っている所がある。過去の生産調整への協力度は、今回の所得補償には関係ないのか?
秋田県の大潟村などの事例が大きくマスコミで紹介されているが、今まで生産調整に協力していなくとも、今年の生産目標にしたがって貰えれば、過去のペナルティは一切問わない仕組みとなっています。

私の地域では規模拡大して農地を借り上げて耕作している農家が多い。こうした農家は、わざわざ農地を借りて耕作をしているわけだから生産調整には協力していない現状があります。こうした積極的に農業の大規模化に取り組む農業者にとっては、この制度はマイナスではないか?
岩盤対策として一定の補助金が支給されるので、大規模農家にもメリットがある政策になっている。

飼料米や米粉などへの転作を行うにしても、需要や補助財源の枠が限られており、自給率向上事業にも限界があるのではないか。
市町村内で十分に調整して行っていただきたい。

販売農家の定義は?
米の場合は原則、共済加入者で生産目標に沿って作付けした農家。自給率向上事業については、生産目標への参加云々は条件としない。(自給率向上事業は、米の生産調整を行わなくても良い)。厳密に販売しているかどうかは検証できない。なお、米のモデル事業は自家用米分として一律10aは、戸別所得補償の基準から控除する。

集落営農から離脱する農家が出ていると報道されているが?
毎日新聞で秋田で集落営農から脱退する農家が出たという報道がなされたが、実態は、戸別補償制度の関連はないとのことだった。戸別補償制度では、集落営農から脱退する場合、同意書がないと支払わない制度となっているので、一方的な脱退が多くなることは考えられない。

平成22年度以降、米以外の作物への拡大の方向性は?
麦、大豆、馬齢種など品目横断の対象作物は、23年度から戸別所得補償の枠組みに入れてくる考えです。畜産や果樹、野菜、花きなどの作物については、恒常的にコスト割れになっているかどうかが戸別所得補償制度を導入するか否かの判断のポイントとなる。そうでないものは、収入保険のような仕組みを検討すべきと考えています。

自分の地域では、酪農家が所有する農地を一括して休耕することで市町村での目標を達成している。戸別所得補償でも、同様な手続きで戸別農家が生産目標を達成していなくとも問題ないのか?
水田協議会で調整がつけば(生産目標を達成できれば)、戸別所得補償は受けられる。