阪神淡路大震災の被災地 今日1月17日は、井手よしひろ県議の議員生活でも絶対に忘れられない一日です。15年前の今日、6434人もの尊い命を奪い去った阪神・淡路大震災が起こりました。この日は、県議会議員に初当選し、臨時議会のために初登院するその日でした。刻々とカーラジオから流れてくる現地の深刻な状況に、新たな県議会への爽やかな期待の念が吹き飛ばされたことを良く覚えています。
 それから15年。この間、震災の体験と教訓はどう語り継がれ、生かされてきたのか。記憶の風化がささやかれる中、改めて「あの日」に思いをはせ、災害に強い国づくりへの誓いを新たにしたいと思います。
許されない鳩山政権の学校耐震化予算の削減
1995年1月17日早朝、阪神地域を襲ったマグニチュード(M)7.3の直下型大地震は、それまで信じられてきた「防災先進国・日本」という神話を一瞬のうちに打ち砕いた。犠牲者の9割近くが建物の倒壊による圧死だったことがわかり、地震列島に立つビルや家屋の耐震性の貧弱さが浮き彫りになったからです。
 「耐震補強さえしておけば」――。慚愧の念を込め、当時、誰しもが口にした言葉です。
 この教訓に学び、震災後、素早く行動を起こしたのが公明党でした。国会、地方議会合わせて総勢3000人の議員が、国・地方それぞれのレベルで一斉に建物の耐震強化を急ぐよう訴え、耐震診断や改修工事への公的助成などを推進してきました。
 2月に入り早々、阪神淡路大震災の現地ボランティアを経験した井手県議も、県庁舎、県立病院、原子力関連施設などの地震対策を何度も議会で取り上げました。
 その中でも特に力を注いだのが、その後の中国・四川大地震などでもクローズアップされた学校施設の耐震化の問題です。国では、2008年には改正地震防災対策特措法が成立。学校の耐震診断結果の公表を義務化する一方、補助割合も引き上げられました。
 その意味でも許せないのが、鳩山政権の「学校耐震化先送り策」です。鳩山政権がゴリ押しする「高校授業料無償化」の予算増大に押し出される形で、来年度予算案では、4月以降に着工予定だった全国の公立小中学校約5000棟の耐震化工事のうち、2800棟相当分が先送りされています。
 「子どもの安全を後回しにして、何が『高校無償化』か」「鳩山政権は『阪神』の惨状を忘れたのか」「コンクリートから人へとは、全くかけ声だけなのか」――。首相は、これら学校の現場に渦巻く怒りの声に真摯に耳を傾け、“予算見直し”の英断を下すべきです。
ボランティア元年・阪神淡路大震災の教訓をどのように生かすか?
 阪神淡路大震災、この年は「ボランティア元年」と位置づけられています。未曾有の大災害を前に、多くの市民は、互いに力を合わせ助け合うことで難局を乗り越えました。自分自身の防災意識、事前の備え「自助」、地域やボランティアによる「共助」、国や自治体による「公助」との協働が何より大切であることを教えてくれたのが、この震災でした。
 この教訓を国や地方自治体は取れているでしょうか。自主防災組織は、各コミュニティに設置されましたが、平日の昼間に自信が起こったならば、ほとんどのサラリーマンは対応できません。一人暮らしや寝たきりのお年寄りの情報は、ほとんど共有されていません。
 早朝から、現地で追悼の式典や集会などが開かれる予定です。記憶の風化に抗うこれらの人々と心を一にして、地域で家庭で、「わが家の備え」を語り合ってみたいと思います。
ハイチ大地震への支援拡大を
American Red Cross IFRC/Eric Quintero 時あたかも、カリブ海の小国ハイチでM7.0ともいわれる大地震が発生しました。15日、ハイチのビアンエメ内相は、既に5万人の遺体を収容しており、死者は20万人に達する可能性があるとの見方を示しました。国連のバンキムン事務総長も、300万人が被災しており、100万人に緊急支援が必要だと述べています。
 井手県議ら公明党茨城県本部では、民間の支援団体と共催で「ハイチ大震災救済募金」活動を、今日午後から開始することにしました。1時からは水戸駅南口で、4時からはイーアスつくばで募金運動を行う予定です。皆さま方の心からのご支援をよろしくお願いいたします。

(2010年1月17日更新)
 17日付の朝日新聞の社説が、この記事の趣旨とほぼ同じ内容を書いてくれていました。以下転載させていただきます。
政権と震災―政治主導で危機へ備えを
朝日新聞(2010/1/17)
 6434人の犠牲者を出した阪神大震災からきょうで15年を迎える。戦後初めて大都市を直撃した震災は、日本の危機管理のありようが問われた人災でもあった。
 当時は「自社さ」連立の村山政権だった。非常災害対策本部が動き出したのは地震発生から約6時間後。緊急対策を打ち出すのには、さらに一日以上もかかった。救援が後手後手に回り被害を拡大させてしまったのは、被災の実態をつかむのに手間取ったからだ。
 地震列島といわれながら、歴代の政府が国民の命を守ることに真剣に取り組んでこなかったつけが、このときに回ってきた。
 その教訓から震度計をきめ細かく配備し、国内外の危機情報を24時間収集できる体制も整えた。省庁の縦割りの弊害を排するために内閣危機管理監も置いた。一昨年の岩手・宮城内陸地震では、発生から7分後に首相官邸に対策室ができた。
 初動体制は整ってきたが、それだけでは十分でない。危機管理監は災害の事前対策には不慣れな警察官僚OBが務めてきた。防災を担う内閣府の職員は他省庁からの出向で、2年もすれば出身の省庁に戻る。防災を専門とする人材の厚みができていないのだ。
 民主党は「危機管理庁」の創設をマニフェストに掲げているが、まだ議論すらされていない。日本列島は地震の活動期に入ったといわれ、いつ、どこで地震が起きてもおかしくない。目の前にある危機に備え、まずは既存組織を最大限に有効活用することを考えてはどうか。
 防災の経験が豊富な人物を危機管理監にあて、内閣府に「防災職」ともいえるプロパーを育てる。消防庁長官には現場の仕事をよく知った専門家を登用すれば、命がけで救助にあたる消防士らの士気も上がるだろう。
 政治主導で適材適所を進め、防災面から霞が関を変える。そんな意気込みで態勢づくりを急いでほしい。
 気がかりなのは防災関連の予算が軒並み縮小されてしまいそうなことだ。とりわけ公立小中学校の耐震化工事の予算が6割も削られるのは深刻だ。「高校授業料無償化」の予算をひねり出すためだが、中国・四川大地震で学校が倒壊して多くの子どもが犠牲になったことを思い出したい。
 中米・ハイチの首都を直撃した大地震はひとごとでない。東京を襲う直下地震では、木造住宅の密集地で火災が同時多発し、65万棟が焼失すると想定されている。壊滅的な打撃を受ける恐れが強い。いつになれば、首都機能の分散を真剣に考えるのか。
 鳩山由紀夫首相は所信表明演説で「地震列島で万全の備えをするのが政治の第一の役割」と述べている。実行が伴うかどうか注視したい。