今国会での議論の多くは、「政治とカネ」の問題に費やされている感があります。しかし、実際の国民生活は、仕事が無く明日の生活の困る若者、病に倒れ仕事も出来ない一家の主、寝たきりになっても自らの年金では介護施設にも入所できないお年寄りなど、待ったなしの問題に直面しています。公明党は、こうした現場の声を何よりも大切にし、国民生活を守るための「第2のセーフティネット(安全網)」構築に全力を挙げています。
 第2のセーフティネットとは、深刻な困窮者のための生活保護の上に、新たな救済策を張ることを意味します。公明党は、「年金」「医療・介護」「雇用」の3つの視点からこの第2のセーフティーネットづくりを進めています。
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無年金・低年金者への対策
 特に、老後の暮らしの柱となる年金制度については、年金を受けられない無年金者や、少ない年金しか受けられない低年金者が増えています。こうした現状を改善するため、井上義久幹事長は、1月22日の衆院予算委員会で無年金対策に年金の受給要件の緩和、低年金対策に基礎年金額を25%程度上乗せする「加算年金制度」の創設を改めて主張しました。
【受給資格期間の短縮】年金を受けるために最低限必要な加入期間である25年の受給資格期間を満たせず、無年金となってしまう現状に対し、現行25年の受給資格期間を10年に短縮するよう政府に迫りました。これに対し、鳩山由紀夫首相は「重要な発想だ。25年は長過ぎるので検討したい」と答弁し、注目されました。
【事後納付期間の延長】後から追納できる事後納付期間を現行2年から5年に延長するよう求めたのに対し、政府は「過去10年までさかのぼって納めていなかった国民年金保険料を払えるよう、法案の提出を検討している」(長妻昭厚生労働相)と答えました。
【加算制度の創設】現在5割の基礎年金の国庫負担割合を6割まで引き上げることで、低所得者の基礎年金を25%程度上乗せする「加算年金制度」の創設を提案したのに対し、首相は「低所得者に年金を上乗せする発想は大事だ。厚労相と相談したい」と前向きな答弁をしました。
高額療養費制度の改善
 高額療養費制度は、同じ月内に同じ医療機関で掛かった費用を世帯単位で合算し、自己負担額が高額になった場合、限度額を超えた部分が払い戻されるものです。
 山口那津男代表は1月27日の参院予算委員会で、70歳未満の場合、1回の医療費が2万1000円を超えないと世帯で合算できない点に言及し「高額だからこそ上限を決めているのに、なぜダメなのか」と迫りました。
 また、(1)月をまたぐと合算できない(2)同じ病院でも診療科が別なら別計算(3)病院が別なら別計算――など制度の不備を指摘しました。
 厚労相は、「一つの病院で科が別だと合算できないので、今年(2010年)4月から改善する」と明言しました。
 一方、井上幹事長は1月22日の衆院予算委員会で、「70歳未満の方の『一般』区分を二つに分け、収入の少ない方の自己負担限度額を引き下げてはどうか」と提案。首相は「重要な課題だ」と答え、検討を約束しました。
訓練・生活支援給付制度恒久化を主張
 未曾有の不況で失業も増加し、「雇用の安全網」の整備が求められているため、公明党は前政権時代に「訓練・生活支援給付」を創設させました。
 これは、職業訓練の受講中の生活を保障するため、最長2年間、単身者には月10万円、扶養家族がいる場合は月12万円が支給される制度です。非正規雇用で雇用保険の対象外となり、失業給付が受けられない人や、給付期間中に就職先が見つからなかった人を救済するためにつくられた仕組みです。ただし、この制度は2010年度までの時限措置となっていました。このため、井上幹事長は1月22日の衆院予算委員会で、制度の恒久化や、未就職新卒者への適用拡大を主張し、厚労相から「11年度から恒久的な措置として実行したい」「新卒者にも適用する」との明確な答弁を引き出しました。
 これを受け、厚労省の諮問機関である労働政策審議会は2月4日、同制度の11年度導入に向け、制度の詳細についての議論を開始しました。