参考写真 2月19日開かれた県議会県出資団体等調査特別委員会で、つくばエクスプレス(TX)沿線の県土地区画整理事業特別会計で、将来的に1000億円を超える県民負担が生じるとの試算が公表されました。
 TXの沿線開発では、県が5つの地区で民有地を先行取得し、うち三地区で土地区画整理事業を進めています。しかし、土地の処分が進まず、平成22年度末見込みで全体の3割弱が処分できたのに過ぎません。その上に、地価の下落が拍車をかけその資産価値は大きく下落しています。
 今まで、県はその将来負担額を565億円と想定していましたが、土地処分期間が10年間延長されたことと、年2%の地価下落と金利の負担増を見込んだ収支予想をやり直しました。その結果、将来負担額を1020億円と現状見込みの約2倍に下方修正しました。(参考資料「県の保有地:20年で1700億円の負担増に」)
 県は、県債の繰り上げ償還や一般会計からの繰入金などで、総額920億円の対策を早期に行えば、将来負担は解消できると説明しました。しかし、この収支見込みの前提条件は、「保有土地412ヘクタールが完売できる」ことであり、捕らぬ狸の皮算用の域を脱していません。
 具体的には、TXを経営している「首都圏新都市鉄道」から返済される貸付金を活用し、県債を繰り上げ償還する(435億円)。金利負担相当額の280億円を一般会計から繰り入れる。上下水道、ガスなど関連公共施設整備負担として205億円を一般会計から負担する。などの対策により、920億円を捻出するとしています。この処理を早期に行うことで、100億円の金利などの軽減効果があるため、1020億円の将来負担を相殺できると説明しています。蛇足ですが、TXからの返済される貸付金を、TXのつくば以北の延伸に再投資しようという考えがありましたが、まさに水の泡となりました。
 TX開発に伴う特別会計で県が発行した県債の残高は、1847億円あまり。金利負担は毎年30億円に上っています。これに将来負担額を加えると総額は2900億円弱にも達することになります。対応の遅れは将来への大きな禍根となります。
 東京新聞の報道(2010/2/20付)によると、こうした県の対応について公明党の足立寛作県議(土浦市選出)は「もっと危機感を持つべきだ。土地を買う世代が減少する中、よっぽど魅力のある地域づくりを進めないと、(巨額の債務を抱える)住宅供給公社と同じ道をたどることになる」と指摘しました。
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伊奈・谷和原丘陵地区
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上河原崎・中西地区
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島名・福田坪地区