参考写真 3月2日の県議会代表質問では、橋本昌県知事より茨城県住宅供給公社の早期解散に向けた方針が示されました。
 県住宅供給公社は、住宅団地の開発や高齢者住宅の運営、民間資金を活用した特定優良賃貸住宅(特優賃)の運営などを行っています。
 しかし、バブル期以降の土地販売の低迷が大きな要因となり、平成21年3月末で621億円の借金を抱えるに至りました。債務超過額は、461億円に達しています。さらに、保有する土地の評価損など453億円の将来負担が見込まれています。
 このまま放置すれば金利負担が増えるばかりで、資金がショートし破たんした場合は、その損失を県が債務保証、損失補てんしなくてはなりません。
 そこで、県は県住宅供給公社の解散を前提に、正規職員に対し、3月31日付の解雇予告を行いました。解散時期や具体的手法については、6月までに明確にすると知事が答弁しました。
 県住宅供給公社には役員を除いて正規職員が11人在籍しています。このほか県からの派遣が12人、県からの駐在が2人在籍しており、3月末で正規社員全員を解雇します。解散への業務は、県からの派遣職員で行います。
参考写真 この他の解散に向けての課題としては、特優賃事業の清算問題、自社ビル(大町ビル)の売却問題、一括分譲代金の回収問題、県からの受託事業の整理、解散後の団地公共施設(汚水処理施設、管渠など)の管理問題などがあります。
 特定優良賃貸住宅事業については、民間事業者が建築した賃貸アパートに関して、住宅金融支援機構からの借入金に公社が連帯債務者となっています。この特優賃は、入居当初は公的な家賃補助を受けかれるため人気がありましたが、入居後10年で補助がなくなってしまい、結果的に割高な家賃となってしまいます。そのために、入居率が下がり、建設資金の返済が滞ることになります。すでに、県住宅供給公社が連帯債務を有する18のビルの中で、12の特優賃の返済を、立替払いしています。また、立替払いをしていない6つのビルに関しても、県住宅供給公社解散された場合、建て主は住宅金融支援機構から一括返済を迫られます。
 県は、他の金融機関への借り換えで連帯債務を外す取り組みのほか、公社が解散してもオーナーへの一括返済請求を行わないことや金利の引き下げ、償還期間の延長などを、住宅金融支援機構に要請しています。
 自社ビル(大町ビル)の売却も難航しています。昨年末から今年1月にかけて売却先を公募しました。公社が有する区分所有権や敷地利用権の売却であるため、応募者は一社もありませんでした。
 分譲中の住宅団地(百合ヶ丘ニュータウン、市毛団地、潮来サニータウン、第2千代田南団地)について、156区画を6つの住宅販売会社に一括分譲しています。その未回収代金は15億6344万円に達しています。この代金を遅滞なく回収することも大きな課題です。
 県から住宅供給公社が受託している事業の清算も急がれます。「桜の郷整備事業」に関しては、平成21年度最終補正予算で、23億円の予算を投じて清算することにしました。また、県営団地用地先行取得事業に関しては、勝倉アパートは平成21年度最終補正予算で2億9000万円を買い戻します。牛久アパートについては、市に譲渡します。藤代アパートは、現在、取手市と協議中です。
 完成した住宅団地に関する汚水処理施設などの公共施設については、地元自治会または、住宅管理協会から県営住宅の管理を引き継ぐ「茨城県住宅管理センター」に移管する予定です。
 いずれにせよ、県民への情報提供を的確に行いながら、県民負担を極小に抑えることを大前提に、住宅供給公社の解散に向けての作業を急がなくてはなりません。