参考写真 3月4日、民間のさい帯血保管施設「つくばブレーンズ」の債権者集会が、土浦市内で開催されました。
 つくばブレーンズは、会員から会費を徴収し、出産時の臍の緒に含まれる“さい帯血”を凍結保存するベンチャー企業です。さい帯血には造血幹細胞が多く含まれ、白血病などの治療や今後のますます研究が進むと思われる再生医療への活用も期待されています。
 こうした情勢の中、筑波大関連のベンチャー企業として誕生したのがつくばブレーンズです。開設当時から期待と懸念の声が寄せられました。当時、やっと軌道に乗ったばかりだった公的さい帯血バンク「日本さい帯血バンクネットワーク」は、こうした民間のさい帯血バンクに対して警告文をインターネット上で公開した経緯もあります。
 技術的な議論はさておき、つくばブレーンズの経営は、スタート直後から不安定であったようです。その辺の事情は日経ビジネスの記事に詳しく掲載されています。ご参照いただきたいと思います。(「宙に浮く約1000人分の臍帯血」をご参照ください)
 昨年秋、つくばブレーンズの破産が申し立てられ、水戸地方裁判所土浦支部で、土浦市内の弁護士を破産管財人として破産手続きが進められています。
 破産管財人の説明によると、つくばブレーンズに預けられたさい帯血は、「(株)臍帯血保管センター」(旧商号:再生医療技術センター(株))の牛久市内の保管施設で返還にあたることになっています。 臍帯血保管センターが、保管されていたさい帯血990人分を一つ一つ確認作業したところ、検体に契約者を識別するID番号の記載がないものや他人のデータと誤っていると思われるものが58人分ありました。他の特定データの記載のないものなどがあることも判明しました。
 さらに、正しく委託者と検体の確認ができたさい帯血についても、HLA(骨髄細胞の型式)検査が行われていないものもあり、新たな費用負担が生ずることになります。
 つくばブレーンズにさい帯血を預けた委託者は、このまま保管を継続することはできません。更にほかの施設で保管するためには、ほかの施設との契約が別途必要になります。
 また、さい帯血を保管している容器に関しても、その所有権を主張するものもおり、裁判所によって認められれば、委託者は新たな出費が迫られることになります。
 委託者のさい帯血は、原則、管財人が委託した臍帯血保管センターに移されることになります。この場合も臍帯血保管センターとの新たな契約が必要になります。ちなみに、臍帯血保管センターの保管料金は初年度69300円、2年度以降は22500円です。HLA型の追加検査が必要な場合は、一検体40000円(子供さんのHLA型との称号が必要なので一人当たり80000円)が必要です。
 それ以外の民間さい帯血バンクに移す場合は、3月末までに新たな保管先を決定し、報告することが求められています。すでに、200人は他の民間バンクに移すことになっていると報告されています。
 さい帯血に将来の子供たちの健康を託した委託者の思いは、見事に打ち崩されてしまいました。政治に係るものとして、注意深く事態の推移を見守るとともに、委託者の権利が最大限に守られ、被害が最小限に抑えられるよう、関係者の真摯な対応を期待するものです。
国内の主な民間さい帯血バンク
(株)臍帯血保管センター
初年度69,300円、次年度以降年間22,500円
茨城県牛久市ひたち野西2−13−1
029-870-0006
(株)ステムセル研究所
10年間220,500円
東京都港区新橋5丁目22番10号
03-5408-5279
(株)シービーシー
10年間で25万円
神奈川県横浜市港北区新横浜2−2−1−5F
0120-241-927
(株)アイル
10年間で25万円
兵庫県神戸市中央区港島南町5−5−2−451
0120-963-312