東京医大茨城医療センターに6名、日製病院に産婦人科3名を派遣
参考写真 3月24日、茨城県と日立市は、東京医科大学との間で、寄附講座に関する協定を締結しました。地域医療の充実を図ることが目的で、県と市が東京医科大学に講座開設の資金的な支援を行い、東京医科大学は医師を優先的に派遣するという取り決めです。
 茨城県と東京医科大学が結んだ「地域医療人材育成寄附講座」は、地域医療再生計画に基づき、救急医療分野を中心とする総合的な診療能力を有する医師の育成と県内の医師不足地域における救急医療体制の構築に関する研究を行うとともに、その成果の普及等を行い、茨城県の地域医療の再生と向上に寄与することを目的としています。
 具体的な講座の内容は、1.質の高い救急医療を実践できる総合的な初期救急対応型救急医の育成プログラムの運用と開発、2.医師不足地域における救急医療分野を中心とした医療体制の構築と医師不足の改善、3.東京医科大学茨城医療センターを拠点とする地域の中核的な病院における人材育成のための教育指導及び診療支援を行うことにしています。
 期間は、平成22年度から平成25年度の4年間で、東京医科大学茨城医療センター(阿見町)に6人の医師を派遣します。茨城医療センターを核に、県内病院に後期研修医を派遣する計画です。
 茨城県はこの寄附講座に年間8000万円づつ4年間で3億2000万を予算化しました。
 また、日立市と東京医科大学は、「地域産婦人科医療講座」の協定を結びました。4月に産婦人科に関連する寄附講座を開設する一方、東京医科大学は日立製作所日立総合病院に、産科医3人をチームで派遣することになります。スタッフは卒後8年以上の指導員クラス1人、卒後5〜7年目1人、卒後3〜4年目1人の計3人体制で運用されます。
 日製日立総合病院は、医師が東京の大学病院に引き上げたため、昨年4月から産科を休止しています。今回の派遣で1年ぶりに、4月5日から再開されることになり。取り扱うのは正常分娩で、ハイリスクの妊産婦は水戸市や土浦市などの医療機関が紹介されます。助産婦外来診療も行う予定です。既に3月9日から予約受付を始め、既に50人の予約が入っています。
 寄附講座の開設期間は、平成22年4月から25年3月末までの3年間。市からの年間5000万円、総額1億5000万円の寄附が行われます。
 地元常陽新聞の取材に樫村千秋市長は「県のバックアップもあって医局がかかわる形での協力は心強い。長い付き合いができるように日立に愛着を持ってもらえるように努力したい」とあいさつしました。一方、東京医科大学の臼井学長は「県や日立市の熱意を非常に感じた。市民、県民、少子化対策にも寄与していきたい」と話しました。
 東京医科大学は、阿見町に大学病院(茨城医療センター)を有し、多くの卒業生が県内各地で活躍しています。茨城医療センターは、本県の地域がん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院としての役割を果たしており、県の政策医療を進めるうえで重要な位置にあります。
 また、本年度から「経済財政改革の基本方針2008」に基づく医学部定員増により3名の「茨城地域枠」を、さらに2名の「地域枠」を設置し、将来の茨城の地域医療を担う人材の育成に協力いただいています。ちなみに「地域枠」とは、茨城県が東京医科大学の入学者に対して、地域医療医師修学資金を貸与(1人15万円/月)し、卒業後、医師として県内の指定する地域に9年以上、医師として働いていただくと、奨学金の返済を免除する制度です。