改正案は問題多く反対、民主党の明らかな公約違反
 4月18日放送されたNHK日曜討論で、前原国土交通大臣は、高速道路上限制法案について、原案どおり今国会で成立させたいという意向を改めて示しました。
 この中で前原大臣は、高速道路の料金割引の財源の一部を高速道路の建設費に使えるようにする法案について、「民主党も参加した国幹会議で決められた整備計画のうち、利便性が高く料金で建設費を償還できる道路のみ建設を 行うことにしており、どこについて、いくらやるかというのも明確にした。閣議で決定しており、必要な手続きは行っている」と述べました。
 さらに前原大臣は、法案成立後、6月から導入したいとしている新たな高速道路の料金制度について、「デメリット・メリット両方あるが、JRやフェリーなど、ほかの交通機関への配慮と物流コストの引き下げの両立を図るもので、来年3月までの実験・試行として設定した」と述べました。
参考写真 これに対して、公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は、「国民は無料にするというマニフェスト(政権公約)を信じて、民主党に投票したが、実際は値上げになることに素朴な疑問がある。分かりやすく答えてほしい」と前原国交相を厳しく追及しました。
 前政権が景気対策で時限的に実施している「土日・祝日上限1000円」以外に、民営化されている高速道路会社が独自に導入した朝夕の通勤割引などの制度も廃止することに対し、「国が(新料金制度を)押し付け、道路会社の工夫を奪う形になり、民営化の改革逆行だ」と指摘しました。
 さらに、鳩山政権が新料金制度とともに実施を予定している、37路線50区間を無料化する社会実験については、受益者負担の原則と環境への配慮の観点から「公明党は無料化に反対だ」と強調。その上で、無料化されるのは総延長距離全体の18%に過ぎず、交通量が少ない地方の区間に限られていることから「ムダな実験だと言わざるを得ない」と疑問を呈しました。
参考写真 このほか、斉藤政調会長は、現行割引制度の廃止で浮いた財源のうち、1.4兆円を高速道路会社が道路建設に転用できるようにする政府提出の「道路整備事業財政特別措置法改正案」に対し、反対の立場を表明。その理由の一つとして「一般会計ではなくなるわけだから、お金の使い方が本当に良いのか(国会で)議論できなくなる。大変に問題がある法律だ」と述べました。
 一方、前原国交相は、高速道路無料化が一部にとどまる一方で、大半が実質値上げになることを各党から批判され、「原則無料化と申し上げてきた。全部無料化とは言っていない」など、あいまいな回答に終始しました。
与党からも異論相次ぐ
 高速道路問題をめぐる議論では、野党だけでなく、与党である社民党と国民新党からも鳩山政権の対応に異論が相次ぎました。
 一部区間だけの無料化実施に対し、国民新党の森田高政調会長が「初めからお金を使わない方がいいと思う。これは0点だ」と断言。割引制度の財源を道路建設に転用する法改正案についても、既に閣議決定しているにもかかわらず、「自分たちは何も聞かされていない」と森田氏は語りました。
 社民党の近藤正道政審会長代理も、「法案に反対することはないが、高速道路料金の割引のための財源を道路建設に使うことには、合理的な説明が求められる。今回の社会実験の結果が出たら、大胆な見直しを行うこともセットで議論することが必要だ」と述べました。
 これに対し斉藤政調会長は「閣議決定の前に与党の意見をしっかりまとめるのは政治の根底だ」と政府・与党の迷走を強く批判しました。